出版社内容情報
「体が痛いです。体が辛いです」。二〇〇八年、外食産業ワタミに入社して二カ月、二六歳の女性が悲痛な叫びを書き残して命を絶った。死後、両親の調査などにより、不正で過酷な勤務実態が明らかになる。早朝にまで及ぶ長時間労働、休日のレポート作成や早朝研修……。ワタミ内部の問題に迫り、事件とその後の動きを検証する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
78
中学校の社会科の授業で教えたことのある生徒が執筆した本です。もう一冊の新書「ルポ過労社会」(ちくま新書)は内容も難しくて、未だ読了できていませんが、この本は分かりやすく書かれています。渡邉美樹は、教育分野にも進出しているので、ワタミの過労自殺のことは以前から気になっていました。経営する学校の教員に、自分の携帯電話番号を生徒に伝えて、24時間対応しろという命令を出していたということを知り、とんでもないブラック企業だと改めて認識しました。2016/02/13
kinkin
51
会社の研修というのは、要は会社にとって言うことの聞く社員にする大げさに言えば洗脳のようなものかもしれない。この本に出てくる新入社員もとても素直で真面目だったばかりに犠牲になったようだ。ブラック企業と呼ばれるようになったのはこの事件あたりだろうか。飲食業界に限らず隠れブラック企業も多いはずだ。若者が疲弊しているこの時代、なんとか定職、正社員でごく普通に働き生活できる社会を築いていけるといいのだが・・・なにぶん安倍さんは「世界一企業が活躍しやすい国」を目指しているとか。その前に労働者が活躍出来る国作り必要!2015/05/07
ふぇるけん
16
本書を読んで誰かに押し付けられる『夢』とか『理念』なるものがこんなに恐ろしいものかと悪寒が走った。過重労働に加えて創業者の著書や手帳を給与天引きで買わせてレポートを強制したり、ボランティアや寄付の強制、これを対外的にはCSRとして報告してるんだろうなぁ。。。渡邉氏が実施すべきは、反省して改善策を出すことではなく、まずは遺族と膝を突き合わせて会話することではなかったか。少子高齢化の日本で、美菜さんのような若者たちを大事に育てなければならないのに、ワタミに限らず企業は過重労働で貴重な人材を搾取している。2015/05/22
Humbaba
14
一度マイナスのイメージがつくと、客は離れていってしまう。そして、一度離れた顧客はなかなか戻っては来ない。問題となった事象が個別な事例による極稀なものならまだダメージは小さくて済むかもしれない。しかし、それが会社全体の傾向によるものであれば、信頼をとり戻すのは非常に困難になる。2015/04/23
しげ
14
「たぶん渡邉さんが始めた一号店はいい店だったと思いますよ」という元アルバイトの方の言葉がとても印象に残っています。2014/12/15