ボルヘスとわたし―日本の作家が語る

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  • サイズ B6判/ページ数 222,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000247795
  • NDC分類 960.28
  • Cコード C0095

出版社内容情報

日本の人気作家陣――川上弘美,多和田葉子,奥泉光,小野正嗣,星野智幸,平野啓一郎,辻原登,高橋源一郎,荻野アンナ,吉田文憲――実作者として,また一読者として,ボルヘスを読み解き,魅力あふれることばで語る.ボルヘス・ファンにも,難解なイメージゆえこれまで近寄れなかった人にも,恰好のボルヘス案内.

内容説明

十人の日本の人気作家が、実作者として、また個性的な一読者として、難解とされ、それ自体が暗喩のようであり、強い知的刺激をもたらすボルヘスの作品を読み解き、魅力あふれることばで語る。作家自身が受けたインスピレーション、文学の方法、さらには思想までもが浮かび上がる、ボルヘスの宇宙を探索する旅の記録。

目次

ボルヘスと私(川上弘美)
1 読まれるボルヘス(夢という辞典(多和田葉子)
断片性と全体性(奥泉光)
忘却と記憶の混在(小野正嗣))
2 存在としてのボルヘス(ボルヘスの不可能性と可能性(星野智幸)
ボルヘスと「現在」(平野啓一郎)
盲目について(辻原登))
3 世界の作家とボルヘス(ボルヘスとナボコフの間に(高橋源一郎)
ラブレーとボルヘスの「空想図書館」(荻野アンナ)
ボルヘスと宮沢賢治―“翻訳空間”と語り手の場所(吉田文憲))
宇宙―おわりに(野谷文昭)

著者等紹介

野谷文昭[ノヤフミアキ]
1948年神奈川県生まれ。ラテンアメリカ文学研究者・翻訳家。東京大学教授。ボルヘス会会長。2010年会田由翻訳賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

長谷川透

19
ボルヘスを読んでみたけれどもさっぱり分からないという人に薦めたい。但し、これを読んでもボルヘスを完全に理解できるわけではないということを断っておこう。そもそもボルヘスは書物という閉じた物体の中に無限の宇宙を閉じ込めた作家なのだから、我々が宇宙の果てに辿り着けないのと同じように、彼の創造した宇宙の果てを知ることはできないのだから。本書は読者がボルヘスの世界を旅するうえでの良質のガイドであり、それぞれのガイドが「実は私もボルヘスってよくわからなくて」というスタンスは、ボルヘスが苦手な読者を安心させてもくれる。2013/07/12

ハルバル

7
ボルヘス生誕百周年を記念して発足された日本「ボルヘス会」の講演記録。会の存在自体、寡聞にして知らなかった。ボルヘス作品そのものを語るというよりは、日本の作家がどのようにボルヘスを読んでいるのか、小説に対する問題意識など、それぞれの作家が自分に引き付けて読まれているのが興味深かった。個人的にはやっぱり作家でも「よくわからん」と思う人の方が多いというのが少しホッとした(笑)。ブエノスアイレスの左派インテリ達の中には、なにかと目立つボルヘスの人を煙に巻くような言動を嫌う作家もいたというのは面白い(同族嫌悪?)。2019/03/25

nbhd

5
どうやらみんなボルヘスがよくわからないらしい、ということがわかった。川上弘美いわく、ボルヘスは「これがわかるのはーほんとうはわからないけどー一応こうやって一生懸命読んでいるのは自分だけなんだ。そしてボルヘスという人のつくった作品の宇宙を今、見ているのは、この世でただ自分一人なんだ」という印象を与える作家…その通りだと思う。2013/03/31

いのふみ

4
いうまでもなく、ボルヘスに対する作家それぞれの態度が違い、それが講演内容・話し方に表れているところがこの講演集の面白さ。特に、「切っても血が出ない」ことへの違和感を認識したうえで分析する星野氏の、その態度・講演内容が。作家たちの労をねぎらう野谷氏のあとがきも、講演後の打ち上げを覗いたようで味わい深かった。2015/08/25

山がち

4
ボルヘスの入門書として、まさに最適ではないだろうか。私がボルヘスに抱いている言語化しにくい、できない感覚が書かれているような気がするのだ。特に奥泉さんの講演が一番そうである。ボルヘスの作品には、他の作品を圧倒するほどのコードが埋め込まれているが、コード化されたものを私たちは読み解くことはできない。しかし、そのコードの背後に見える宇宙、秩序を説くが、これこそが私の抱いていた完結性であるのだろう。一度ボルヘスを読んで、自分なりに何らかの感覚を得る。そして、それを解きほぐすために本書を読むのが一番かもしれない。2013/09/30

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