プルーストと絵画―レンブラント受容からエルスチール創造へ

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  • サイズ A5判/ページ数 359,/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000246415
  • NDC分類 953
  • Cコード C0098

内容説明

長編『失われた時を求めて』に絶妙な小道具として登場するさまざまな絵画とプルーストとの出会いをていねいに跡づけ、作中での多様な役割を考察。プルーストの絵画受容をとおしてその創作の秘密にいどむ。

目次

第1部 実在画家の受容と『失われた時を求めて』
第2部 『失われた時を求めて』における絵画提示の意味
第3部 作中画家エルスチール
補遺1 フランドル・プリミチフ派
補遺2 フランス・ハルスの集団肖像画
補遺3 絵画コレクター、シャルパンチエとカモンド伯爵
補遺4 スワンの美術趣味提示における図版と加筆

著者等紹介

吉川一義[ヨシカワカズヨシ]
1948年大阪生まれ。東京大学仏文専攻博士課程満期退学。パリ=ソルボンヌ大学第三課程文学博士。東京都立大学教授をへて、京都大学文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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夜間飛行

53
本書は様々な資料からプルーストが見たであろう絵を割り出し、図版を掲げている。例えば大貴族の夜会に侍る従僕達をプルーストは「マンテーニャの戦士」に喩えているが、筆者はその典拠であろう二枚の画を《『キリスト磔刑図』において十字架の下でダイス遊びに興じる兵士達》、《『聖ヤコブの殉教』に描かれた惨事を尻目に「物思いに沈んでいる」戦士》と特定する。とりあえず画自体が非常に人間くさくて面白い。どんな悲劇も他人事としてやり過ごす兵士の姿を夜会の従僕達に重ねるプルーストの目…これを自分の目で確かめるという愉悦に満ちた本。2016/03/31

kinka

9
岩波文庫のうしプル訳者、吉川先生が、絵画に特化して解説するうしプル本。古典から最新の流行だった印象派まで網羅し、それらから作者の芸術観と文学観の象徴とも言える作中の画家、エルスチールが作られていく様子が描かれる。改めて、絵画と文章の違いと、文章で創造することを選んだプルーストの研鑽が伺える。直裁にヴィジョンに訴える絵画でなく、知性と時間性が介在する文学で、独自のスタイルを編み出すこと。知性と本能の葛藤と、そこからの再創造がうしプルの、作者の重要なテーマであったことがわかる。2016/04/02

ラウリスタ~

7
岩波文庫から『失われた時を求めて』の訳を出されている、吉川先生の研究成果を垣間見れる本。プルーストの作中に登場する実在、暗示、架空の絵画作品の数々について緻密な検証を重ねてプルースト読解に新たな一面を開く重要な専門書だといえるでしょう。確かは絵画はよく出てきますが、それについてこれほどまでに重厚な研究をされるとは、研究とは何かが少し見えてきます。もっとも『スワンの恋』までは読んでおかないと話が分からないどろうとは思います。一応、専門書なので。2011/10/06

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