出版社内容情報
恋仲だった二人のスパイの突然の破局、その裏で進行していた恐るべき裏切り。誰にも予想できない衝撃のラスト!
内容説明
平穏な人生を送っている元CIAのスパイ、シーリア。そこへ突然、かつて恋仲だった同僚ヘンリーが訪ねてきた。久しぶりの再会のテーブルで明らかになるウィーンでのテロ事件の真相、手に汗握る心理戦、そして物語は衝撃のラストへ―!
著者等紹介
スタインハウアー,オレン[スタインハウアー,オレン] [Steinhauer,Olen]
作家。メリーランド州ボルティモア生まれ。エマーソン大学卒。2003年発表の『嘆きの橋』で作家としての地歩を固める。2009年にはCIAを舞台としたスパイ小説『ツーリスト』がアメリカでベストセラーとなった
上岡伸雄[カミオカノブオ]
学習院大学文学部英語英米文化学科教授。現代アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
148
この分野にしては珍しい岩波書店から出版されています。まあどちらかというと心理的な要素が多く書かれているからなのでしょう。ミステリ-を期待した向きには少しはずれかもしれません。私は読みでがあって好きでしたが、これをどのようにして映画化するのか楽しみです。誰がこの二人をやるのか想像するのが楽しみです。2017/04/16
紅はこべ
89
ウィーン国際空港でのテロ事件のCIAの内通者を探るヘンリー。標的は当時の恋人で、今は退職してアメリカで夫と子供と平穏な生活を営むシーリア。ヘンリーがシーリアを自白に追い込むか、それともシーリアに濡れ衣を着せようとしている?スパイ同士の虚々実々の駆け引き、それにヘンリーの断ち切れないシーリアへの未練が絡む。信頼できない語りで、明かされる真相。まさか岩波で『嘆きの橋』の作家の作品を読めるとは。攻めてますね、岩 波。スパイものの心理舞台劇。シーリアの運命はどうなるか、ちょっとリドルストーリー的。2016/09/29
のぶ
59
自分には合わないタイプの本だった。巻頭のあらすじを読んで想像した内容と違っていたし、あらすじ自体内容を適切に表しているとは思えなかった。極めて閉鎖的な世界での話なのだが、なかなかアウトラインを掴めず、元CIAのスパイと元恋人の会話になっても、何を描こうとしているのかよく理解ができなかった。そんな状態の自分なので合っているかは解らないが、ブラックのショート・ショートを膨らませたような作品じゃないのかと思った。何かの書評を見て現物を見ず、ネット書店で買った本だが、たまにはこんな失敗もある。2016/07/24
星落秋風五丈原
43
主役以外では登場人物が少なめで、レストラン内部でほぼ進行する。過去の部分で多少場面転換はあるにせよ舞台劇向き。小説では全て説明しないとフェアではないのである描写によって一方の目的にかなり早い段階で気がつくが、舞台化すれば、俳優達の演技のさじ加減で、その目的をかなりごまかす事が出来る。同時多発テロ以降の世界を舞台にしており、作品中に、実際に起こったロシアのテロが登場。二人が相手の真意を見極めようとする時の重要なキーになるのもテロだ。テロ自体がフィクションの世界のものではなくなった現在、物語のリアル感が増す。2016/08/13
幹事検定1級
25
某新聞の日曜版で定番となっている本紹介で知り手にした作品。洋物のため登場人物はすべて外国人でカタカナですので、まずは名前と人間関係を理解しながらの読書になります。自分の読力と戦いながらの読書になりましたが、1回では到底、作者の仕掛けや思いにたどり着かず、反省です。(図書館本)2016/06/28