出版社内容情報
第157回直木賞受賞作品
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる――目の前にいる、この七歳の娘がいまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく。
この数奇なる愛の軌跡よ! 新たな代表作の誕生は、円熟の境に達した畢竟の書き下ろし。さまよえる魂の物語は戦慄と落涙、衝撃のラストへ。
内容説明
欠けていた月が満ちるとき、喪われた愛が甦る。第157回直木賞受賞。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
1024
直木賞候補になってから、図書館に予約したので、ようやく読めました。本書受賞作がオーラスとなり、第157回直木賞候補作全5作コンプリートです。複雑に絡み合う輪廻転生のスピリチュアル・ラブ・ストーリー、佐藤正午のMyBest、直木賞受賞も納得です。今年のBEST20候補にランクインしました。2017/11/03
ウッディ
790
愛する哲彦ともう一度巡り会うため、月の満ち欠けのように何度も生まれ変わる瑠璃。自分の娘がそんな前世の想いを秘めた女性だったら、父親の視点から徐々に明らかになってゆく真相。切なさを描いただけの物語ではなく、深みを持たせているのは、幾つかの伏線がキッチリ回収され、堅と梢のもう1つの生まれ変わりのストーリーが仕込まれていたからで、一気に読ませる面白さはありました。ただ、自分の娘が、家族として過ごした思い出より、前世の恋人に気持ちを持ち続ける不条理さなど、生理的には微妙な話でした。2018/07/08
鉄之助
706
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」。呪文めいたこの言葉に、導かれるように複数の物語が織りなす壮大なドラマだった。輪廻転生。私も「生命は生まれ変わる」説を信じているが、一気に読んでしまった読後感は、「不思議」。それまでエリートコースまっしぐら「べた凪の人生」だった正木竜之介が、人の世のはかなさに直面する。参考文献に上げられている『前世を記憶する子どもたち』も読んでみたくなった。2022/12/03
bunmei
691
「月のように。いちど欠けた月がもういちど満ちるように…そしてあなたの前に」そんな輪廻転生をテーマに、3人の男と1人の少女・瑠璃を巡る物語。30余年もの時空を超えたファンタジーであり、ピュアな恋愛物語。それぞれの登場人物が営む愛おしい日々が交錯する中で、紡いでいく愛の奇蹟にが描かれています。一方で、彷徨える瑠璃の魂が乗り移る小学生の女の子と中年男という設定には、チョット違和感を感じ、正木の堕落振りや歪んだ愛には辟易感もありました。登場人物や時系列がやや分かりにくく、何度か読み返しながらの完読でした。2017/09/01
うっちー
615
こんなことがあると思うと会いたい人は何人かいます2017/09/24