内容説明
12年前、民族問題でソ連は崩壊すると予言し、世界に一大センセーションを巻きおこした問題作に、日本版唯一の緊急独占インタヴューと論稿を一挙収録(100枚)。
目次
第1章 「諸民族の牢獄」が開かれた時
第2章 単一ソビエト民族か、それともソビエト諸民族か?―人口革命
第3章 人口変動と経済的矛盾
第4章 統合のための諸勢力―政治・軍事権力
第5章 ソ連における諸言語―統合のための道具か それとも諸民族強化のための道具か?
第6章 危機にある統合
第7章 宗教と民族感情
第8章 ソビエト社会におけるイスラム的人間
結論
ソ連―マホメットがマルクスを脅かす
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
1970年代までのソ連の民族問題を分析した名著。共産主義のイデオロギーや管理政策によって、各民族を統合した「ソビエト民族」を作るという共産党の実験は数十年を経て、失敗している事が明らかになっていた。人口動態から、減少傾向が続くロシア人やバルト系民族に対し、増加傾向が続くカフカズや中央アジアの民族がやがてソ連で多数派を形成する未来が既に見えていた。そして、イスラム系民族の頑強な信仰は共産主義に撲滅されるどころか、共産党に積極的に参加し、内側から組織を浸食。この本の内容は、現在のロシア圏の状況を予測していた。2020/12/19