内容説明
歌は物語の中でどのような役割を果たしているのか。ヤマトタケルの物語にみえる個々の歌とその歌い手を中心とする登場人物の関係性とを考察。『古事記』に独自の表現や記事配列を踏まえて物語全体の中に位置づける。歴史的事跡である国土平定が、なぜ一人物の抒情的物語として描かれたのか―享受者の記憶に定着させ、「語り継がれるための工夫」を見出す。
目次
序論 『古事記』の倭建命物語
第1章 倭建命の「建荒之情」―被派遣者の資質
第2章 出雲の掌握と刀剣讃美―「さみなし」歌の解釈から
第3章 弟橘比売命入水条の表現―象徴化の方法
第4章 酒折宮問答歌の時間意識―月立問答歌への展開
第5章 月立問答歌の敬語表現―男女唱和の視点から
第6章 白猪神への「言挙」―「言向」から逸脱する倭建命
第7章 「一つ松」歌の役割―疲弊と思慕とを語る歌
第8章 思国歌にみる倭建命の忠心
第9章 倭建命辞世歌の役割―東征の終焉を告げる歌
第10章 倭建命葬送条における「倭」と「天」
結論
著者等紹介
小野諒巳[オノアサミ]
1986年北海道生まれ。2015年國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。2018年博士(文学)取得(國學院大学)。現在、國學院大學兼任講師。専攻は日本上代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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