内容説明
めすが死んで独りになった、きたきつねのおす。きたきつねの命は5年。日に日に、弱っていく体で、子どもや孫、兄弟に会いに行きます。そして、力つき雲になったおすが、空から見たものは…。
著者等紹介
手島圭三郎[テジマケイザブロウ]
北海道生まれ。「しまふくろうのみずうみ」では絵本にっぽん賞を、「きたきつねのゆめ」はボローニァ国際児童図書展グラフィック賞を、「おおはくちょうのそら」はドイツ児童文学賞絵本部門ノミネート賞など、数々の賞を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
78
きつねの命は5年である。寄り添って生きていたきつねの夫婦がいたが、ある日メスが死んでしまう。オスも弱った体を引きずりながらさまよい歩いていくが…。5年という歳月が短く感じてしまうのは、人間の寿命と比較してしまうからなのかもしれない。たった5年で何ができるのだろう。無常感をどこかで感じてしまうが、きたきつねたちは違う。子供から大人になり、伴侶を見つけ子供を産み、そして孫の顔までを見るのだ。そうやってオスの一生を見ると、充実しているし素晴らしいと思えるのだ。2012/09/02
keroppi
71
年老いたおすのきたきつねは、めすに先立たれ、子供をたずねる。兄弟には会えない。命が次の世代に繋がれていくことを淡々と描いていく。命を全うすることの幸せが胸を打つ。2021/11/07
陽子
24
先日、窓から庭を横切るキタキツネを見た(住宅地にもいるんです)。そんなこともあり、道産子作家の手嶋圭三郎氏のキタキツネの絵本が目に留まり一読した。自然の中のキタキツネの姿を通して「与えられた命をありのままに全うすること」を瑞々しく描いたドラマは秀作と感じた。キツネの寿命は5年。子育てを終え、妻に先立たれたオスギツネ。その切なさや、おじいちゃんとして娘や孫との交流に慰められ、成長を見守りながら、孫に守られて命を終えていく。生命のバトンが繋がりゆく様に胸が熱くなる思いがした。2020/01/30
ツキノ
21
2011年4月発行。いきるよろこびシリーズ。きたきつねの命は5年なのか…。メスが先に死に、オスのその後の物語。兄弟には出会えず、孫たちの成長。淡々と描かれるいのちのつながり、美しい自然。(E105)2021/04/10
ume 改め saryo
15
版画の線、一本一歩がなんだかとても切ない感じですね。深く重く語りかけますね。 それにしても、キタキツネの寿命はあまりにも短いものですね。 知らないだけで、もっと多くの短命の生き物が地球上には、いっぱいいるのでしょうね。2013/09/23