オウム―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか

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オウム―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか

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  • サイズ A5判/ページ数 541p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784901510004
  • NDC分類 169.1
  • Cコード C1036

出版社内容情報

オウム事件は宗教の問題であるとともに、日本的な組織の問題でもある。
高い教育を受け、理想を求めた若者たちが、なぜあれほど凶悪で悲惨なテロリズムに走ったのか?個別審理では明らかにならない、事件の深層構造とは?
メディアによるバッシングで職を追われた著者が困難と痛みをバネに、日本の組織が抱えている、根本的な矛盾を露呈することになった史上まれな事件の全貌を全精力を傾けて解明。
<各紙誌の書評より>「信仰と暴力の関連について詳細に解明。」(日経新聞2001/7/29・島薗進氏)「宗教の本質に触れる迫力がある。」(朝日新聞2001/8/5・与那原恵氏)「解明への粘り強い姿勢に敬意を表する。」(共同通信2001/8・芹沢俊介氏)「オウムの底なしの宗教性を切り出す。」(信濃毎日新聞2001/9/2・森岡正博氏)「著者の誠実さと苦悩の貴重な成果。」(週刊文春2001/8/30・有田芳生氏)など絶賛。

序章 オウム事件と私
私の責任  オウムの復活 「先生は・・・・・」 林郁夫の告発

第一章 事件は解明されたのか
検察側冒頭陳述  武装化の経緯  憎悪という理由  挫折と成功 憎悪説への疑問 終末論からの解釈 ハルマゲドンの信仰 終末論の機能救済としてのサリン

第二章 ヨーガからの出発
独学のヨーガ ヨーガ道場として ヨーガの技法 麻原の解脱 宗教へ教団の誕生 一番弟子の解脱 教義の集大成 総本部道場開設 

第三章 グルイズムへの傾斜
マハー・ムドラーの成就 リンポチェに教えられたもの 出家主義への転換忍辱精進極厳修行 マハー・ムドラーの日常化 極厳修行での体験 マハー・ムドラーのからくり グルイズムの確立 グルの優しさと怖さ グルイズムのモデル 尊師の意思という幻影

第四章 殺人を肯定するヴァジラヤーナの教え
「人を殺しているからね」 社会との対立 敵の抹殺 衆議院選挙の敗北 聖無頓着の教え 変貌する教団 薬物による洗脳 省庁制度の導入 幹部の独走

第五章 なぜ無差別大量殺人は敢行されたのか
「ひとを千人ころしてんや」 アニメの受け売り ポアの論理 殺生戒の逆説 グルの奇宗教 宗教との距離 宗教学の危機

第十章 オウム問題の現在
謝罪を拒否し続けた教団 巧妙な生き残り策 麻原の影響 マハー・ムドラーという回路 ヴァジラヤーナからの決別 信者たちの行方 強いられる共生 脱会者のケア オウムに行かせないために 宗教のカルト化 麻原の脱神話化 オウム問題の解決にむけて

終章 私たちが学ぶべきこと
信じやすい心 理科系信者 性的抑圧と暴力 責任回避型社会からの離脱 宗教教育の必要性 私たちのこれから


見落とされた可能性 島田裕巳 

 オウムの存在が広く知られるようになった一九八〇年代末から一九九〇年代はじめにか
けて、「宗教ブーム」ということが言われた。
 しかし、私を含め宗教学の研究者は、世間で言われる宗教ブームに実体はなく、決して
ブームではないという分析を行なった。たしかに、戦後高度経済成長時代に、創価学会を
はじめとする日蓮系の教団が急速に勢力を拡大したのとは様相を異にしていた。
 だが、今から振り返ってみると、その認識には誤りがあったように思われる。私たち宗
教学者は、その時点で、日本が情報化社会に突入していたことを十分に認識できていなか
った。情報化社会では、仮想現実の世界が現実の世界以上に重要な役割を果たす。そうし
た社会においては、ブームと言うに値する実体が存在するかどうかは問題ではない。ブー
ムであるという情報が存在するのであれば、それは間違いなくブームなのである。
 実際、宗教ブームと言われた時代、マスメディアにおいては、宗教にまつわるさまざま
な現象が取り上げられた。自己啓発セミナーのように、宗教に類似した現象も注目を集め
た。宗教教団の側も、情報会全体を破壊する
テロリズムへと発展し、現実に多数の人間を殺傷した。振り返って見れば、宗教ブームは、
冷戦構造の崩壊とともに活性化した、宗教原理主義の台頭という世界史的な出来事の一環
だったのである。
 


内容説明

高い教育を受け、理想を求めた若者たちが、なぜあれほど凶悪で悲惨な事件をひき起こしたのか?個別審理では決して明らかにならないこの事件の深層構造とは。“崩壊”の始まりを告げた事件の全体像を解明し、日本という組織社会の病理を剔抉する。

目次

序章 オウム事件と私
第1章 事件は解明されたのか
第2章 ヨーガからの出発
第3章 グルイズムへの傾斜
第4章 殺人を肯定するヴァジラヤーナの教え
第5章 なぜ無差別大量殺人は敢行されたのか
第6章 実践されたチベット密教
第7章 信者がオウムに求めたもの
第8章 村上春樹のオウム事件
第9章 バッシングと宗教学の方法
第10章 オウム問題の現在
終章 私たちが学ぶべきこと

著者等紹介

島田裕巳[シマダヒロミ]
1953年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻、宗教学。オウム事件に際し、事実誤認報道に基づくメディアのバッシングに遭い、日本女子大学教授を辞任。その後、オウムの考察を糸口に、探究の対象を現代日本社会の構造全体に拡げ、その成果は『オウム―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』に結実した。またこの間、劇作にも手を染め、戯曲作品『五人の帰れない男たち』『水の味』が上演された
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感想・レビュー

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踊る猫

33
力作ではある。情報は冷淡になり過ぎることなくスマートに整理されているし、論点も明快。読んでいて面白かった。なのでなにか物足りないと感じてしまうのは、結局著者が麻原彰晃の中にある虚無に太刀打ちできていないことかとも思う。だが、まともに麻原の狂気に立ち向かったら呑み込まれる恐ろしさもあるので、著者が過剰なバッシングに遭っても事態を整理して中立的立場から提示したように麻原を過度に(ヒステリックに、と言ってもいい)敵認定しないのはそれはそれで真っ当な態度だとも思う。この事件は終わった話ではないのだな、と再認識した2020/03/24

あっきー

5
✴4 救世主である輪転聖王を企む教祖が祭政一致の官僚組織を作り神聖政治を行い、幹部による忖託と何でもありの暴走を許した結果、フリーメイソン=ユダヤ人による最終戦争の陰謀であり、封鎖兵糧攻めのサリン工場の家宅捜索を阻止し、終末論的な状況を突破するためにサリンによる先制攻撃を行った(らしい)、平成中にどうしても決着をつけたかったみたいな大きな区切りが先日あったので初めて事件関連の、特に宗教面に詳しい本を選んで読んだ2018/12/25

富士さん

2
再読。自分が修行をしたら他人の心も救えるという傲慢極まる考えには嫌悪感しか抱けないので、本書の指摘する、人に認められたいという煩悩でしかない動機なら、事件にはそれ見たことかという感慨しか抱けません。著者の週刊誌の煽り記事みたいな現代社会観には鼻じらみましたが、しかし、オウムの真面目さ、まっとうさについての考察はとても興味深く読みました。我々が彼らのような陥穽に陥らないのは、彼らよりも善良であるからではなく、無能で、怠惰で、不誠実であったからであって、誇るべきはその程度なのだと知るべきではないかと思います。2015/05/07

HIDE

1
事件がどのような経緯で起こり、その社会的な位置づけについて書かれています。この事件について知るには良い本でした。2015/11/06

リール

0
12012/08/01

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