内容説明
幕末から明治期にかけて、流失し変貌し、いま、行方不明になりつつある日本の芸能や文芸。その消滅ぶりは何を意味するのか。著者の歯ぎしりは、日本人の歯ぎしり。
目次
1章 関東における〈語り物〉の系脈(福住順賀―江戸平曲の終焉;明治期における説経浄瑠璃の動向―若松派を中心として)
2章 輝やかしき江戸歌舞伎の残像(坂東喜知六―江戸歌舞伎最後の半道方;見高神社の歌舞伎引幕について)
3章 戯作者の求めた“粋”の末路(竹塚東子の環境―酒落本『田舎談義』出板以後;人情本作者鼻山人の終焉―晩年の作風と生活について)
4章 話芸がこころみた「近代」の造型(話芸「お富与三郎」―近世話芸の人間謳歌;三遊亭円朝―文明開化と話芸の展開)