内容説明
雷雨の朝、白いオートバイ、18歳の少女―「三億円事件」の秘密の扉がいま静かに開かれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らむり
39
1968年、東京府中で白バイ女子高生が3億円を強奪。実際にあった事件をモチーフにした、恋愛モノです。映画化されてたんですね。2014/01/30
橘
35
面白かったです。さらさらと流れるような、でも静かに熱い文章が素敵でした。宮崎あおいさんが主人公を演じた映画は昔々に見たのですが、空気感が好きだったなと思い出しました。三億円事件の背景に一人の少女の初恋があったというお話はとても切なかったです。三億円事件の描写はスピード感があってドキドキしました。Bに集まる仲間たちのその後は触れられていますが、主人公はどんな人生を歩んできたのだろうと思います。この時代は知らないのですが、彼らの衝動が伝わってきました。装画が浅野忠信さんって、あの浅野忠信さんですか…?2017/01/14
まひと
34
ありきたりな恋愛小説ではないとの印象を受けました。実際にあった府中三億円強奪事件を軸に進んでいく主人公の日々。この時代を生きた、子供と大人の間でゆれる青春という時期を過ごした、少年少女の迷いと葛藤をうまく表現しつつ、本当にあの事件の犯人であるかのような詳細な説明には感心しました。こういう初恋もありですね。「秘密とは、それがやましいものであれ、ときにはやましいからこそ、また分け合う人数が少なければ少ないほど甘美なものだ」2014/08/29
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
28
女子高生と大学生の恋のような物語。親戚の家を転々としている女子高生が惹かれたのは、やはり心に空隙を抱えた大学生。三億円事件と絡めて書いている。作者は本当の三億円事件実行犯との噂があるが、私にはわからない。心に虚無を抱えた少年少女の気持ちなら少しはわかる。充たされない気持ちを大事にしながら生きていかなくてはいけない事も少しはわかるし、その気持ちを急いで埋めようとして刺激や人間関係などに溺れていくのも少しわかる。「ノルウェー森」や「されど我らが日々」「ビーチ」などを思い出しながら読んだ。2019/01/23
夏
22
あまり良いとはいえない叔父叔母の下で育てられ、高校生になりジャズ喫茶Bに入り浸るようになった作者と同名の主人公。そこで出会った好きな男に頼まれて三億円事件の片棒を担ぐことになる。三億円事件を取り扱っているものの、それはこの小説の主題ではない。物語は常に主人公の寂しさ、切なさ、孤独が流れているようで、どんなシーンであっても心にすきま風が吹いているような感じがした。三億円事件のシーンが終わってから物語に流れる切なさは倍増し、ラストになるにつれて増していく。三億円事件をモチーフにする必要はあったのだろうか。2020/11/18