内容説明
「生物多様性保全条約」を起草した環境科学の国際的第一人者が、政・官・業界・マスコミ・学界一体の驚くべき真相を抉り、対応策を緊急提言。生命活動の基本を見すえた、「海のいのちをめぐる一般理論」から、いま、有明海のみならず全国の海で起こっている事態に警鐘を鳴らす問題作。
目次
第1章 有明海荒廃の真因はノリの養殖法にあった(民主的立法を阻害する「委員会・審議会」制度;科学的分析力を欠く水産庁選定の第三者委員会 ほか)
第2章 ノリの不作と有機酸処理の深い関係(第三者委員会における第一回会議での酸処理剤検討がその後を決めた;干潟の機能の正しい理解こそが希少生物の絶滅を防ぐ ほか)
第3章 生物の生きる仕組みから考える有明海問題―有明海を死に追いやる硫化水素(諌早干拓開始のはるか以前にさかのぼる有明海荒廃の序曲;有明海に生きる動物を死に追い込んだ真の原因は硫化水素であった ほか)
終章(マスコミと有明海問題;有明海疲弊のシナリオ ほか)
著者等紹介
江刺洋司[エサシヨウジ]
1933年、宮城県仙台市生まれ。東北大学理学部生物学科卒業。同大学理学研究科博士課程修了。東北大学教養部教授を経て、理学部に環境生物学講座を開設。同講座初代教授を務めたのち、1996年停年退官。東北大学名誉教授。1992年「生物多様性保全条約」の起草に参加。現在、日本樹木種子研究所所長。理学博士。植物生理学専攻
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