内容説明
まったく新しいハイデガー像。哲学は社会に超然たりうるだろうか。哲学と社会の関係の本質にラディカルに迫る。いっけん“社会的な政治”とは無縁に見えるハイデガーの「純粋哲学」の核心に、社会的な政治性を発見する「哲学の社会学」。哲学は、哲学的言説が社会的文脈に還元されることを何ゆえ断固拒むのか?「内在的読解」による、哲学の自己批判から、デリダ×ブルデュー論争の本質を明かす。
目次
序論 いかがわしい思想
第1章 純粋哲学と時代精神
第2章 哲学界と可能性空間
第3章 哲学における「保守的革命」
第4章 検閲と作品制作
第5章 内的な読解と形式の尊重
第6章 自己解釈と体系の進化
感想・レビュー
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roughfractus02
5
ハイデガー哲学の読解からその政治性を暴くのが本書の目的ではない。ワイマール共和国における大学という力の場において、大学界(champ)を世俗と分離し、哲学を守る場と見なす歴史的背景から、ハイデガーの著作を政治的かつ哲学的に二重に読む、という方向で本書は展開する。哲学の純粋性を求める姿勢こそ歴史的であるとする著者は、『話すということ』において展開したハイデガーの文体批判をさらに詳細に行いながら、専門語を作り繰り返す修辞に、政治と哲学を共通の由来を持つとした「相同的」関係と見なす「保守的革命」の動きを見出す。2024/05/20