内容説明
明治三六年(一九〇三年)、若き女性、夙子は王宮に学校を設立するためひとり大陸へ渡り、未知の世界へ飛びこんだ。そして、与えられたもうひとつの使命…。女子教育に尽力した河原操子の史実にもとづく歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
62
明治時代にモンゴルへ日本人の女性が女学校の教師として赴任していたなんて興味を感じるよりも、驚愕でしかありません。 その史実に基づいて書かれたそうですが、勇敢な生き方が描かれ、また、モンゴルを取り巻く状況もあわせて描かれ、読み応えが有ります。 比較的、さらりとか書かれていますが、実際は、幾多の問題に直面したのでしょう。本当に驚愕です。 欠点は、漢字が多いことでしょうか。しかもルビがカタカナなので、その点だけは、読むのに苦労しました。 2020/01/20
詠月
5
すごく良かったです。変に卑屈になったり穿ったりせず、素直に読めました。啓蒙とは一体何だろうかとも頭を過ったけど、そんなことは考えずに素直に物語を受けとるだけでいいと思う。スーホの白い馬が懐かしくなって、馬頭琴の演奏を聴かせてくれたモンゴルのお姉さんを思い出しました。幼い頃の忘れていた記憶と思い出なので、嬉しくて切ない気持ちになりました。2013/04/05
杏子
3
西日本読書感想画指定図書中学校。期待せずに読み始めたが、これが存外よかった。はるばる海を越えて、内蒙古へとやってきた日本人女性の愛と闘いの物語。時代は日露戦争の頃のこと。日本人女性教師として、子どもたちへの啓蒙が表向きの使命… そしてもう一つの使命とは。あまり馴染みのない世界を丁寧な筆致で描いている。歴史的事実を知っていたなら、もっと楽しめたかもしれないが、さほど知識がない私でも楽しめたから。爽やかで、ちょっぴりせつなく、生き生きとした物語。 主人公のその後について、もっと知りたかったけど、蛇足かな? 2011/07/25
にしき よう
3
蒙古とか中央アジアと聞くとつい触手が動いてしまいます。爽やかな少女小説でした。純粋な想いが軍に利用されていくのは悲しい…。 それにしても「佐和みずえ」ってどこかで聞いたことがあると思ったら、「なかよし」でマンガの原作を書いていた方だったとは…。とても懐かしかったです。2010/08/09
なーり
2
爽やかな少女小説、その通りですね。モンゴルの風俗、当時の歴史的状況、異文化に身ひとつで飛び込むこと、恋愛、すべて瑞々しい。小学校高学年から。2011/04/20