出版社内容情報
中国の土着宗教としての社と祠,それらと日本の神社・巫女の類似に着目し,早くより着手されたユニークな研究。唐から清にいたる主要文献を渉猟するとともに,土俗宗教の社会的側面に着目した研究の基本文献
感想・レビュー
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韓信
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唐宋時代の巫覡の活動、存在形態、地域的分布について、正史や太平広記、夷堅志など小説類から事例を網羅的に抽出・分析した研究。唐代では祠廟や民間にいるものだけでなく、官僚機構の末端に取り込まれていた巫覡が、儒仏道以外の民間信仰を淫祠邪教として弾圧する宋代では、宮中から排斥され、儒教的価値観を擁する士大夫によって雨乞の職掌を奪われ、追放・帰農させられる様子がありありと描かれる。宋代でも江南などの郷村では、医者や僧侶道士もおらず、巫覡が同様の機能を果たし、医療・信仰の中心だったという史実は現代人から見ると衝撃的だ2021/01/11