目次
語りえぬものについては、沈黙せねばならない
現実から可能性へ
対象に至る方法
これでラッセルのパラドクスは解決する
論理が姿を現わす
単純と複合
要素命題の相互独立性
論理はア・プリオリである
命題の構成可能性と無限
独我論
自我は対象ではない
必然性のありか
死について、幸福について
『論考』の向こう
著者等紹介
野矢茂樹[ノヤシゲキ]
1954年、東京に生まれる。1985年東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授。専攻は、哲学
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感想・レビュー
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まこみや
30
きっかけは「猫は後悔するか」だった。野矢さんはここで「論理空間」という用語を用いて「猫は後悔できない」ことを鮮やかに証明する。その感銘の余波からもう一度『論考』を読み返そうと思った。『論考』はいわば思考の(または言語の)限界を画定しようという試みである。「世界は事実の総体」という命題から出発して、論理空間の中で対象の配列と論理語の操作を追究する。そして最後に永遠の相のもとに「語り得ぬもの」を感じさせる。野矢さんの補助でなんとか読み終えて、『論考』のウィトゲンシュタインってかっこいいなあと改めて思った。2021/10/25
小雪
4
ヴィトゲンシュタイン一番の難読書と言われる『論理哲学論考』の解説書ですが、あまりにも面白すぎて…しかも、こんなに分かりやすい解説書がありますか!って感じです。ご存知の通り『論理哲学論考』は、後々ヴィトゲンシュタイン自身によって批判されましたが、野矢さんはその議論も含んだ、より大きな枠組みによって解説を試みています。師であるフレーゲやバートランド・ラッセルの議論も解説されており、もう、これ以上の解説本が考えられませんね。2018/02/07
けん
2
くそがっ!文庫出てるじゃねーか!と買ってから気付いた。しかしそれが反骨精神を生み出し、鉛筆で書き込みながら全力で読んだ。面白い。前半のスイッチを多用した言語論理部分はわかりやす過ぎる。後半の純哲学部分(ていうのかな?)になるにつれてあいまいになってきてはいるが、だがそれがいい。2009/11/29
belca
1
ヴィトゲンシュタイン初挑戦 言語の循環 芸術と思想 無限について 構成主義、アプリオリ、etc もっと深く知りたいと思った ヴィトゲンシュタインに関して2022/12/03
いたる
1
『論理哲学論考』を読む前に一通り目を通しておくと、内容がすっと理解できる本です。ただ、あまりこの本の内容に解釈を寄せすぎるとアッという間に闇に飲まれてしまうので、あくまで『参考程度に』。 理解がしづらいな、と思った箇所に関してはたいていこの本に説明が載っているので、論理哲学論考を読む際は隣にこの本を置いておくと考える幅が広がってよいと思います。2022/11/10