内容説明
かつて日本でも行われ、今また議論されている陪審制。この百年に様々な陪審制を経験したロシア司法制度の解説、また実際の刑事裁判傍聴を通じ、日本での議論に示唆を与える。
目次
1 裁判への国民参加―日本の場合・ロシアの場合
2 陪審制から参審制へ、そして再び陪審制へ
3 陪審裁判のしくみ
4 刑事訴訟の基本構造と陪審裁判
5 陪審裁判の実績と評価
6 陪審裁判の実際―沿海地方のある事件から
7 誰の問題なのか―日本における議論への示唆
著者等紹介
小森田秋夫[コモリダアキオ]
東京大学社会科学研究所教授。1946年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。北海道大学法学部教授などを経て1993年から現職
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感想・レビュー
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晴天
1
ドストエフスキー作品でよく裁判が描かれる19世紀から、ソ連時代を経てロシア連邦時代に至る陪審制の推移についてコンパクトに描く。ソ連時代は裁判への参加は名誉のことで国営企業やコルホーズはもちろん全面的に協力したが、資本主義の時代においては年金生活者と失業者しか参加せず、むしろ日当をあてがう失業者対策に使われることさえあったというのには驚かされる。なお、紹介される事件では無許可で所持されていた16番の単発散弾銃が使われていたが、いかにもロシアで普及していそうな猟銃だと思った。2022/10/15