内容説明
アイヌ近現代史においてもっとも記録の蓄積が薄かった1940年代後半から60年代後半までを、アイヌ民族‐和人関係史という枠組み設定により多面的に叙述するはじめての試み。戦後20数年間の歴史が現在へと架橋される。
目次
問題の所在
『現代のアイヌ』における「現代」の位相―「同化」の物語をめぐるアイヌ像と和人像
「熊祭り」の政治学―「殺す」べきか「殺さざる」べきかをめぐって
観光という磁場の力学―「観光アイヌ」再考
「名作」の誕生と受容(1)―『コタンの口笛』の児童文学性
「名作」の誕生と受容(2)―『森と湖のまつり』の素材と主題
千島アイヌと「領土返還」運動―動員から忘却へ
和人が語るアイヌ民族の「誇り」―他者への敬意とパターナリズムに関する小考
ユートピアを志向する「開拓精神」と「フロンティア」―北海道開発論と北海道文化論の行方
「道民」は「人間のルツボ」か―アイヌ民族「同化」論と「道民」形成論の関係
農地改革、北海道不良環境地区対策、そして北海道旧土人保護法存廃論争―アイヌ民族と行政府の対立と「協同」
「遠い記憶」と「近い記憶」―歴史の「復権」を考えるために
著者等紹介
東村岳史[ヒガシムラタケシ]
1963年北海道帯広市生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程中退。現在同研究科教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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