出版社内容情報
映画監督、市川崑。彼の映像表現は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」、ドラマ「古畑任三郎」、資生堂CM「TSUBAKI」などに多大な影響を与えている。初の「市川崑の明朝体表現の研究書」。
市川崑の特徴である独特の巨大明朝体表現は、テロップ表現の古典的スタイルとして定着しつつあるが、いままで本格的に研究・分析が行われることはほとんどなかった。本書ではL字型極太明朝体表現が何を指し示しているのかを、代表作「犬神家の一族」を中心とした数々の作品を材料に「映画評論」、「デザイン評論」の2つの視点から詳しく解説する。様々なバリエーションを持つ明朝体の字形照合実験や、スクリーンサイズに合わせたレイアウトグリッドを用いての比較、技術・歴史、そして表現方法が時代とともにどのように変化していったのかを丹念に分析する。
第1章 市川崑明朝体の正体
金田一耕助の推理/「犬神家の一族」明朝体の条件/書体のウエイトと容疑者たち/金属活字の時代/写真植字とは何か/容疑者たちの素性/エッジの処理と印刷適正/髭あり書体と髭なし書体/手型あわせと共犯者/混植組版の理由/事後共犯はミスか/市川崑の姓名/井上刑事が指し示す真実/書体に託した意味/『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』/市川崑明朝体の正体/市川崑の関与
第2章 市川崑明朝体のレイアウト
レイアウトの分析手法/出版物のフォーマット/レイアウトグリッドの機能/映像のなかの文字/『犬神家の一族』の特殊な画面比/四種類のレイアウトグリッド/気配りのレイアウト/グリッドの変遷とその理由/縦組横組のレイアウトパターン/L型配置の変化/市川崑がめざしたもの/『病院坂の首縊りの家』
第3章 市川崑タイポグラフィの作法
市川崑の作法/映画の文字の目的指向性/市川崑作品の書体分類と題字/特太の明朝体とにじみの作法/巨大明朝体の作法/小道具の新聞作法/読書行為を暗示する作法/L型配置の作法/極小題字の作法/タイプフェイスの導入/見出明朝体とL型配置の融合/混植と変形の作法/ゴシック系書体の作法/レイアウトグリッドの作法/「記録か芸術か」騒動とその後
第4章 市川崑の明朝体表現と日本再発見
「ルパン三世」のタイプライター表現/ディスカバージャパンの時代性/『木枯し紋次郎』と『股旅』/デザインのジャポニズム/ジャパン・タイポグラフィへ/『犬神家の一族』への結実
最終章 市川崑明朝体のその後
市川崑タイポグラフィの展開/絵画的キャプションの応用/映像と文字が共鳴するクレジット/衰退する写真植字と『どら平太』/リメイク版『犬神家の一族』へ
【著者紹介】
1968年岡山県生まれ。島根大学大学院教育学研究科准教授。筑波大学大学院芸術研究科修了後デザイン制作会社に勤務し企業広報誌や女性誌などのレイアウトを手がけ、のちにDTP部門立ち上げスタッフとして参画。以降、コンピュータ初心者向け雑誌のデザインを中心に出版物のフォーマット設計を担当。
NEC社製コンピュータ解説書「活用ブック」(日本マニュアルコンテスト2004優良賞)のデザインほか、「第6回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2000(富山県立近代美術館)」「大地の芸術祭 ─ 越後妻有アートトリエンナーレ2003(新潟県)」への出品などがある。
内容説明
図版点数150点、映像画面のべ225コマ。ヴィジュアル資料をもとに検証する市川明朝、初の研究書。
目次
序章 「犬神家の一族」の周辺
第1章 市川崑明朝体の正体
第2章 市川崑明朝体のレイアウト
第3章 市川崑タイポグラフィの作法
第4章 市川崑の明朝体表現と日本再発見
最終章 市川崑明朝体のその後
著者等紹介
小谷充[コタニミツル]
1968年、岡山県生まれ。島根大学大学院教育学研究科准教授。筑波大学大学院芸術研究科修了後、デザイン制作会社に勤務し、企業広報誌や女性誌のレイアウトを経験。のちにDTP部門の立ち上げスタッフとして参画。以降、コンピュータ初心者向け雑誌のデザインを中心に出版物のフォーマット設計を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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