内容説明
人類史の中の暴力を、文化としての「儀礼」に探る。戦争、食人、生け贄…人類の歴史はまさに暴力とともにあった。人類学は、この問題にどのように取り組むことができるのか。本書は暴力を、とくに「儀礼」を中心に学際的な展望を持って考察することにより、暴力論の新たな地平を切り拓く。
目次
第1部 発現―儀礼という回路(平等主義社会における暴力;戦士的伝統、年齢組織と暴力 ほか)
第2部 変貌―国家という文脈(民衆文化と抵抗としてのブリコラージュ;若者の“力”と近代日本 ほか)
第3部 省察―暴力という鏡(儀礼的殺害としての供犠の位置;女による暴力と女への暴力 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
7
儀礼的暴力すなわち何らかの形で社会に意味づけられた暴力をテーマとする論集。スーダンの伝統的な棒合戦、シャリヴァリの再解釈、テルミドールにおけるロベスピエールの立ち位置、ジハード論、ギリシア悲劇に描かれた女性と暴力、フィジーの食人慣行など題材は多種多様。理論に傾く難解な論考と具体例に即した論考の両極端で、当然のことながら後者の方が読みやすい。例えば「若者組」の解体と明治政府による社会再編を論じた第七章(川村邦光)など。2023/06/26
生きることが苦手なフレンズ
1
多数の執筆者からなる論文集だけあって、語られる暴力の形も参照される理論も多様であった。中には、文化人類学というより歴史学に近い論考もあり、文献資料からの分析よりな印象を受けた。5章、8章、10章、13章が面白かった。特に、「食人」という、「毒抜き」されえない暴力、フィジー人とヨーロッパ人宣教師の関係を通して他者性について述べた13章が印象深い。2013/06/09
陽香
0
199802282015/11/11
-
- 和書
- 映画で学ぶ憲法