感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
65
父が米国に移住し14才でハーバード大学院に入学したウィーナーと、ブダペストの裕福な家に生まれ変革の中に育ったノイマンでは多少異なるが、ユダヤ系の青年の張り詰めた思いはよくわかった。ブラウン運動を記述しようとウィーナーが考案した、角だけから成る微分不能なジグザク道は面白いなあ。一方、美しい数学をめざして無限次元空間を想定し、シュレディンガーとハイゼンベルクの量子論を統一していくノイマン。彼が核兵器開発を推し進めた事実は悲しくも恐ろしかった。ハンガリー人としてソ連への恐怖もわかるが、やはり彼の心は氷のようだ。2017/07/23
greenman
4
フォン・ノイマンとウィーナーの数学的業績からそれぞれのキャラクターなど広範囲にわたって述べられている興味深い伝記。フォン・ノイマンは数学的職人肌をもっていて、時間を空間を超越する形式的数学構造や論理的構造を好む一方、ウィーナーは数学に全てを収斂させるような態度をとらず、様々な分野をつなげるような哲学的思考があったことに、二人の最も際立った性質の違いが見て取れる。この二人に違いは、フォン・ノイマンをオートマトン理論に導き、ウィーナーをサイバネティクス・・・生物と機械における制御と通信で統合する考えに導いた。2011/12/31
くろすけ
2
①私が「不確実性」という概念に出会ったときの印象が「思考放棄ではないか」と「わからないものはわからないと扱う懸命さ」の2つだったのだけど、ノイマンとウィーナーの基礎的な考え方が、まさにこの2つにそれぞれ由来しているのに驚いた。ノイマンは既存の論理形式体系を拡張して混沌を減らしていこうとするのに対し、ウィーナーは統計的にだいたいどう動くかという形で混沌に対処していっている。2015/06/21