内容説明
『雨月物語』という奇蹟的な作品の隅々を、おどろくべき綿密さで検証し、その検証を通して、作家上田秋成の精神の光と闇を明らかにしてゆく、徹底的に腰のすわった『雨月物語』の読み解き。
目次
第1章 「白峯」あるいは父性呪縛の構図
第2章 「菊花の約」あるいは思想としての〈近世〉
第3章 「浅茅が宿」あるいは〈母性〉への遡行
第4章 「夢応の鯉魚」あるいは〈母胎回帰〉の逆理
第5章 「仏法僧」あるいは“いま、ここ”の幻視
第6章 「吉備津の釜」あるいは〈エトス〉との邂逅
第7章 「蛇性の婬」あるいは〈大地母神〉からの離脱
補論(「白峯」のモチーフ―近世期における〈自立〉の試みとして;『雨月物語』に描かれた〈女性〉―その“原型”性をめぐって)