内容説明
日本の政治・社会史の上に巨大な影響を与えた中国儒学の受容と展開を通して日本文化の特色に迫る。中国からみた日本の歴史。
目次
序章 (「儒学」か「儒教」か;中国儒学の発展の諸段階)
第1章 儒学の日本伝来(日本伝来はいつか;仏教伝来との差異)
第2章 日本早期の儒学(聖徳太子の『憲法十七条』;大化改新・律令制と儒学思想;記・紀の儒学思想;大学寮の儒学教育;「早期儒学」の特徴)
第3章 鎌倉・室町時代の日本儒学(宋学の日本伝来;地方への伝播)
第4章 日本の朱子学(日本儒学の独立;日本朱子学派の分化;中・日・朝朱子学の相違)
第5章 日本の陽明学(中国の陽明学;中日陽明学の相遺)
第6章 日本の古学(古学の3人;清の考証学派との比較)
第7章 江戸後期の日本儒学(日本儒学の衰退と変質;儒学者の西洋文明観の転回)
第8章 水戸学と明治維新(朱舜水と前期水戸学;後期水戸学の歴史的意義)
第9章 明治維新後の日本儒学(儒学思想の復活・変貌と『教育勅語』;日本軍国主義と儒学の悪用;日本の現代生活と儒学)
終章 日本儒学の特質―中・日儒学の比較
感想・レビュー
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きさらぎ
1
中国の学者が日本語で書いた日中儒学に関する本。これはすごく勉強になった。もう少し早く読んでおけばよかったと思った。大きな理由は、日中の儒学の理念的・思想的分析や比較よりもそれぞれの歴史的発展や変遷の記述に多くの筆が割かれて、私のような基礎知識のない門外漢にとっては大変頭の整理になったからだ。中国なら儒学の発展から清朝考証学とその後まで、日本は応神天皇期の儒学伝来や十七条憲法・大化の改新・平安朝の大学寮から江戸時代の全盛期を経て明治維新後までの「通史」がそれぞれ丁寧に、そして読みやすい日本語で書かれている。2015/05/15