内容説明
日本語さえ知っていれば不自由のなかった日本社会は今、転換を迫られている。多言語の「先進国」インドの状況を知ることは、日本の明日をさぐることへと通じる。本書では、言語と政治の関わりを、インドの言語政策を国家と州の両面から追究し、多言語の中で人びとが何と向き合い言語状況がどのように動いていこうとしているのかを明らかにする。
目次
1 位置(社会言語学;言語計画・言語政策 ほか)
2 方法(インドの言語状況;インド連邦25州の典型はありうるか? ほか)
3 連邦の言語政策(連邦公用語;州公用語 ほか)
4 州の言語政策(ケーララ州;カルナータカ州 ほか)
5 国家語化と地域語化(多言語社会とはどういうことか;単一言語社会と多言語社会 ほか)
6 結論(方向;多言語 ほか)
著者等紹介
鈴木義里[スズキギリ]
ヨシサト。1953年生まれ。北海道大学文学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。学術博士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
samandabadra
0
インド25州のうち4つの州を取り上げて、その比較からインドの言語政策の傾向を考えたもの。州ごとの政策の中で崩壊しつつある言語という話はいっさいない。州の中での公用語が州ではどんどん強くなるものの、外へ出るためにヒンディー語や英語の必要性もだんだんと高まっている状況であるという話。10年前の状況から比べ、英語熱、ヒンディー語熱は強まっていることが予想されるが話して、今の状況やいかに。なお英語熱はグローバル化と関係があり、旧植民地であったこととはいったん切れているという議論は、少々疑問が残るが説得力あり2010/09/30