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内容説明
妹の小夜子が事故でこの世を去った八月十五日は、アブラゼミがうるさく、怖いくらいに日没が赤い、まるで世界が焼かれていくような夕方だった。そして、五年後の小夜子の命日。同じように夕陽で赤い空を、雲がせわしなく流れていく。周囲がアブラゼミの鳴き声に包まれる。なにか、予感めいたものがあった。驚くほど暗く、常にざわざわと不穏な音を奏でる森の中、上りかけた月の光が優しく降り注ぐその下に、小柄で美しい少女は座っていた。「―あなたは…だれなの?」少女の声質は小夜子と似ていた―。日没になると必ず眠る少女国崎桜花は、決して小夜子の代わりではなくて―。
著者等紹介
岩田洋季[イワタヒロキ]
1983年12月13日生まれ。広島県出身。『灰色のアイリス』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sira
3
あらすじと『序』を見て重そうな設定かもとすごく覚悟と期待をして読んでいったのだけど、何だか不完全燃焼な感じ。序盤は良かったのだけどね。主人公が傍観に近い位置にいて、それぞれの感情に余り深く触れなかったからかな。シリアスだし、所々鬱に近いし、怖い場面もあるのに、さらりと読み終わりました。読みきりとして楽しむなら綺麗にまとまっているのだと思う。単純に好きか嫌いかと問われれば、好き。他の作品も読んでみたいかも。2011/03/12
たけ
2
「わたしが想像しているとおりに、私の頭の中にある世界そのままに…描いてみる。あきらの目には、ひどい絵になると思う……けど、やってみる。伝えたい…から。わたしが頭の中でみてる月は、本当に美しいの。本当に、本当にーー」このシーンがすごい好きだ。2013/10/25
はなぶさ
2
序盤の主人公周りだけのときの話は良かったんだけど、範囲が広がっていくとだんだん微妙に。嫌な役を一手に引き受けている感のある美咲がどうにも受け入れがたい。むしろドン引き2010/11/11
安住ヶ原
1
ただのライトノベルと侮るなかれ 落として高度10000mまであげた上で時速数百キロで叩きつけるガチ鬱 最近のラノベじゃあまり見ない気がするシリアスな奴 文も人を殺すだろコレ取り敢えず読もう2018/07/23
ソラ
1
【読メ登録以前読了作品】 内容(「BOOK」データベースより) 妹の小夜子が事故でこの世を去った八月十五日は、アブラゼミがうるさく、怖いくらいに日没が赤い、まるで世界が焼かれていくような夕方だった。そして、五年後の小夜子の命日。同じように夕陽で赤い空を、雲がせわしなく流れていく。周囲がアブラゼミの鳴き声に包まれる。なにか、予感めいたものがあった。驚くほど暗く、常にざわざわと不穏な音を奏でる森の中、上りかけた月の光が優しく降り注ぐその下に、小柄で美しい少女は座っていた2008/09/24