内容説明
老人には体力がない、することがない、何の楽しみもない、死が近いという悲観論を、実例を挙げて一蹴する。実践の知恵に溢れる老年のための幸福論。二千年を超えて読みつがれる名著の現代語新訳。八木誠一「私の老年論」を付す。
目次
老年論(キケロ)(スキピオとラエリウスの懇願;幸福な老年の実例をあげる;老人はすることがないという通念に反論する;老人には体力がないという通念に反論する ほか)
私の老年論(八木誠一)
感想・レビュー
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新山下
1
キケロの「老年論」は91ページで終わって登場人物等他の解説が多い。ローマ帝国のラテン語を「新しき、ことを学ばず、いたずらに、過ぎ行く日なし、老いゆく我に」という七五調に訳されているのに驚いた。 少年期の虚弱さ、青年期の元気よさ、壮年期の重々しさ、老年期のまろやかさには、なにか自然のものがある。それをそれぞれの時代に享受すべき、を納得した。2013/03/30
905
1
八木誠一が訳者として名を連ねていたので手に取った。そういう意味で、自分には本文はもとより巻末の「私の老年論」が興味深く読めた。時代や洋の東西を問わず真に通ずるものは同じだということ。2011/03/01
タンポポ
0
カトーの物腰は自分の心に染み入った。例えば『火が燃え尽くすと何をしなくともひとりでに消えるのに似ている。老年から生命を奪うのは成熟なんだね。』の箇所も数ある一つだった。2022/02/08