内容説明
日本を震撼させた金融破綻、少年犯罪、薬害エイズ、沖縄問題、宗教事件に通底するものは何か。閉塞するシステム社会の悪循環の構造を解明し、個人の価値を創出する生き方を提唱する、感動とユーモア溢れる論集。
目次
1 洗脳教育からの脱出(透明な存在の異常と日常;学校というシステム;二つの世界のはざまで)
2 現代日本のフィールドワーク(現代日本のフィールドワーク;こころの産業)
3 平成の坊っちゃん(平成の坊っちゃん―愛媛日記’94~’96;エヒメというシステム)
4 日本型システムを超えて(「癒しブーム」の虚と実;日本型システムを超えて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
3
『逃走』は、本書にたびたび登場しますが、浅田彰さんも、当時「逃走論」で『スキゾキッズ』という表現で同様の解決方法を提言されていましたので、あながち間違いではないのかも知れません。しかし、現在本書を読む限り、あまりにも弱い提言だと思います。今日同様の行動をとった場合、役割を放棄したことに対する非難があるはずです。社会学者はこの点を見逃さないと思いますので、上田さんの立場はどちらかというと心理学者の立場に近いかも知れません。2016/11/12
Machida Hiroshi
0
本書は、著者が現代日本社会に蔓延する様々な問題に通底する日本型システムの破綻を指摘し、新しい生き方を提案する意見書です。戦後の日本経済発展に関しては、日本型システムが上手く機能したか、もしくは、問題を内包しながらそれが表面に出なかったのでしょう。しかし、右肩上がりが期待できない停滞した社会では日本型システムが明らかにきしみ始めているのは多くの人が指摘するところです。では、どう生きるのか。僕が痺れた言葉は、「個に信を置き、個を確立せよ。それが癒しにつながる。」です。著者の情熱がひしひしと伝わって来ました。 2014/04/09
aoya513
0
個に信を置くこと。「意図せざること」を受け入れること。意図と効率からしてみれば剰余の部分に愛や夢がある。自分を癒しながら自由と創造性を追求する人間は、自分自身だけでなく他者も力づけ解放することができる。中心性の回復。2018/02/17