日本人の「戦争」―古典と死生の間で

日本人の「戦争」―古典と死生の間で

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  • サイズ A5判/ページ数 248p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784806756279
  • NDC分類 210.19
  • Cコード C0036

出版社内容情報

われわれはなぜあのように戦ったのか。正成、信長、二・二六、そして「あの戦争」。戦後50年をむかえ、「戦争」が過去の遺物となりかけている現在、ある「戦中派」が痛恨をもって問う、畢生の書。  ★★★共同通信全国配信記事(1995年5月8日・北日本新聞)=敗戦の結果、日本人は、命を懸けて守るべきものを自主的に見つけ、命を懸けても戦わないという決意の意味を本当に突き詰めたか、という問い掛けも鋭い。一つの深みに碇を下ろし、そこから発せられる声なればこその、不思議な迫力を備えた本である。★★★歴史と旅評(1995年7月号)=いっさいの「抽象」を排し、「あの戦争」を死生の実感をもって後代に伝える。★★★図書新聞評(1995年10月28日)=明治以降の日本人の戦争、特に昭和時代の戦争の歴史的・文化的構造をえぐる。言霊から革命・天皇・アジア主義、カネ、玉砕まで、多様なテーマのもと感受性みなぎる鋭角的な論を構える。ページのすみずみまでおもしろい本である。★★★出版ニュース評=人びとはどのような心情から戦争に突入していったのか考える。なかなか気になる内容である。★★★  ●●●「まえがき」より=私は本書で「あの戦争」を生きた“実感”として取り上げようとした。世に、あの戦争をひたすら過去の出来事とみなし、もっぱら資料収集に当たる研究者は多いだろう。個々の部分を慎重に解読しようとする調査もある。また、現代の高みから過去の愚かさを論断する評論も少なくないだろうと思う。勿論それらは、それぞれに意義ある仕事であろう。だが“実感”としてというのは、今に生きる者の歓びと悲しみをありのままに見つめて、という意味である。もし今、この社会でそれができるなら、人が生きる上での哀歓は何時でも何処でも変わりないように思う。そうして、おそらくは多くの日本人の内に今なお生き続ける戦争への実感も、自分の感性、感懐、感慨をありのままに保つ限り、今に生き続ける。逆に現代への誠実な実感は、歴史に生かし、歴史を見えるものにすることができる。戦争責任とは、今や戦後責任なのである。現代の日本人が、日々の生活にかまけてこの種の問題を放置すれば、やがてわれわれも歴史の復習に怯えるときがくるだろう。今、“自由”と“繁栄”と“平和”を謳歌して日々を送っているかのような現代人も、後代の人びとから“一体、あなたたちの平和とは、繁栄とは何だったのか”という問いを投げ掛けられないという保証はないだろう。それは、歴史の中ではこれまでの---どうしてあなたたちは、あんな戦争に加担するのを拒否しなかったのか---という戦争告発の言葉と同種のものとなる。かくてあの戦争を考えることは、歴史と現代そのものの考察となる。あの戦争を“情理”の両面から、つまり歴史が指し示す非可逆的な定理と、生きる者の悲しさを映した情の二面から考え直すことは、まさに生者にとっての課題となる。●●●  【主要目次】▲▲第1章・日本人の「戦争」---古典と死生の間で=実感と「抽象」/「僕は妣の国に往かむと欲ひて」/言霊の戦い--「海行かば」/修羅の戦い---「七生報国」/信長の戦い---「滅せぬ者のあるべきか」/「国民」の戦争---「朝日に匂ふ日の本の国は世界に只一つ」/歴史の中の「戦争」---「見るべき程の事は見つ」  ▲▲第2章・「開戦」と「敗戦」選択の社会構造=“戦争か平和か”の選択でなく/「国体」を支える社会構造/二・二六事件の後に/農地調整法と企画院事件/先制攻撃をうける懸念/内戦への懸念/革命か敗戦かの選択  ▲▲第3章・天皇、戦争指導者層および民衆の戦争責任=半世紀後の戦争責任論/天皇の戦争責任/戦争指導者層の戦争責任/民衆の戦争責任  ▲▲第4章・アジアへの共感と連帯=連帯の根據と人間像/「馬賊の歌」と「流浪の旅」---民衆の中のアジア主義的心情/棄郷と帰郷の心情ならびに社会構造  ▲▲第5章・自壊の系譜=対満事務局の設置---「王道楽土デノ大喧嘩」/興亜院の設置---「経済欲望は洵に奔馬の如し」/大東亜省の設置---「覇道を行ふに在り」  ▲▲第6章・日本の「戦争」と帝国主義=帝国主義の昔と今/金銭と暴力---シャイロックから帝国主義へ/日本の「戦争」---空腹の帝国主義/現代の帝国主義と超帝国主義  ▲▲終章・特攻・玉砕への鎮魂賦=「汝心あらば伝へてよ。玉のごとわれ砕けにきと」/「戦友」と「同期の桜」/鎮魂の賦

内容説明

われわれはなぜ、あのように戦ったのか。正成、信長、2・26、そして「あの戦争」。痛恨をもって問う、ある「戦中派」畢生の書。

目次

1 日本人の「戦争」―古典と死生の間で
2 「開戦」と「敗戦」選択の社会構造―“革命より戦争がまし”と“革命より敗戦がまし”
3 天皇・戦争指導層および民衆の戦争責任
4 アジアへの共感と連帯
5 自壊の系譜―アジア主義の制度化をめぐって
6 日本の「戦争」と帝国主義―空腹の帝国主義と飽食の帝国主義
終章 特攻・玉砕への鎮魂賦