内容説明
実験に使う魚は自分たちで釣ってくる。実験器具はほぼ手づくり。研究の現場は、常に汗と涙にまみれている。トビハゼの機嫌をとり、イイダコをけしかけ、魚が考えていることを知りたい先生と学生たちの、ローテクだけど情熱あふれる、広島大学「こころの生物学」研究室奮戦記。
目次
サカナの脳は小さいか
サカナは臆病だけど好奇心もある
ゼブラフィッシュは寂しがり
サカナの逃げ足
恐怖するサカナ
サカナも麻酔で意識不明?
各方面に気を配るトビハゼ
眼を見て誰かを当てるの術
サカナいろいろ、脳いろいろ
ハゼもワクワクするか
ハゼもワクワクするか
飼育は楽し
スズキだって癒やされたい
著者等紹介
吉田将之[ヨシダマサユキ]
1965年茨城県生まれ。鹿児島大学理学部卒業。広島大学で博士号取得。現在、広島大学大学院生物圏科学研究科・准教授。カエルの味覚、カタツムリの脳、サカナの遊泳、オタマジャクシの脊髄、などの研究を経て、現在はサカナの心への生物心理学的なアプローチに取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チャーリブ
36
著者は広島大学の「こころの生物学」研究室で「サカナが何かを考えるしくみ」について研究している先生。といっても堅苦しい研究書ではありません。難解な専門用語もほぼなく楽しい読み物です。「サカナだって考える」という気宇壮大なテーマは未完のままですが、臆病だったり、好奇心や恐怖心があったり、癒やしを求めているらしいサカナたちを知ると、やはり「サカナだって考える」と考えたくなりました。興味深かったのは、サカナを実験で殺す時には深い麻酔をかけるという話。私たちが食べるサカナの場合はどうなってるの?と気になりました。○2023/11/18
tosca
26
魚の思考を脳を調べて明らかにしたいという研究だけど、魚だけでなく言葉を持たない生物が何をどのように、どれくらい深く考えているのかが少しでも分かれば素晴らしいと思う。実験に使う魚は自分達で釣って飼育して愛情を持って接しているらしい所は良いと思うが、痛い実験の場合は麻酔を使うというのはショック。魚は痛点が無く痛みを感じないものだと思っていた…因みに動物の実験や飼育を行う際には生命倫理に則った方法で行うようにという大学の規定に魚は含まれないそうだが、著者の研究室ではかなり配慮をしているようだ2024/04/10
kanki
25
反応速度、人間は0.2秒。魚は0.02秒。網で魚捕るのが難しいわけだ。2022/08/26
Yuuki.
23
魚の心に焦点を当てた研究が、素人でも分かりやすい文章で書かれていて物凄く面白かった。魚の餌の取り方や求愛行動などを解説した本や番組は散々読んだり観たりしているが、魚の情動の実験なんて初めて聞いたので、この本の内容全てが新鮮だった。酔ったら人間も魚も同じとは…。魚がこんなに記憶力が良いとは…。色んな種類の魚の脳の比較図も興味深かった。研究室にいる学生さんたちとの会話や学生さんたちの様子がクスッと笑えて楽しそう。2020/07/17
アーちゃん
23
図書館本。広島大学大学院の准教授である著者の、キンギョやハゼ、ゼブラフィッシュなどに対する実験と、学生との心温まる(笑)会話やエピソードをわかりやすくまとめた本です。キンギョの麻酔や、エンゼルフィッシュが寝ている写真など、新書などの学術系と違い、章立ても短くて読みやすく楽しい本だなと思ったら、「先生シリーズ」の築地書館さんが出版元でした。この本もシリーズにしていただけると嬉しいです。2017/10/22