内容説明
社会や経済の規模が大きくなって、そこでの現象を支配している要因の数も多くなると、それらの要因の間の関係を取り扱う手だてが必要になってくる。線形代数はその要求にみあった構造を持っている。そして要素の数によらない理論構成はひろい応用を可能にしている。理論として定式化された数学を学ぶことはそんなに易しいことではない。数学特有の論証方法などによくなじまないとなかなかついていけないところがある。とはいえ、数学理論の成立過程の紆余曲折をたどることが初学者にとってよいとは限らない。本書では応用問題を扱いながら数学を学ぶ立場をとった。
目次
第1章 割り当て問題と行列
第2章 行列の演算
第3章 構造的関係の行列表現―グラフ理論
第4章 最適戦略の行列表現―ゲームの理論
第5章 逆行列
第6章 行列式
第7章 線形空間
第8章 線形変換
第9章 固有値と固有ベクトル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PapaShinya
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少し古い本ですが、線形代数の基礎を固めるには大変良い本です。2となっていますが、1にあたる本は、微積分と微分方程式の基礎を扱っています。こちらも良い本です。著者は理系ですが、本書は高校で数学をあまり勉強しないまま大学の文系に来てしまった学生さん向けに、社会科学で数学がいかに大切か、数学を使うと問題がいかに見通し良く議論でき解けるかを体験的に学んでいけるよう工夫されています。本書は、簡単な計算練習も挟みながら、線形代数を社会経済問題の応用問題として学んでいけます。ゲーム理論の入門としても良い本です。2024/01/18