内容説明
静岡県沼津町。壮麗な富士を仰ぎ見る地に居を定め、創作に邁進する牧水。その最も充実した平穏な日々に、脂の乗りきった筆で自由自在にしたためたエッセイが一冊に編まれていた―大正十四年に刊行されたその名著を、読みやすい形で復刊。旅と自然への「あくがれ」を描いた名篇や、関東大震災をつぶさに活写した「地震日記」。牧水の人間的魅力が高純度の日本語に結実した幻の書!
目次
序文に代へてうたへる歌十首
跋
草鞋の話 旅の話
島三題
木槿の花
夏を愛する言葉
四辺の山より富士を仰ぐ記
野蒜の花
若葉の頃と旅
枯野の旅
冷たさよわが身を包め
夏の寂寥
夏のよろこび
釣
虻と蟻と蝉と
空想と願望
酒の讃と苦笑
歌と宗教
自己を感ずる時
なまけ者と雨
貧乏首尾無し
若葉の山に啼く鳥
秋風の音
梅の花桜の花
温泉宿の庭
或る日の昼餐
桃の実
春の二三日
青年僧と叡山の老爺
東京の郊外を想ふ
駿河湾一帯の風光
故郷の正月
伊豆西海岸の湯
海辺八月
地震日記
火山をめぐる温泉
自然の息自然の声
著者等紹介
若山牧水[ワカヤマボクスイ]
1885(明治18)年、宮崎県生まれ。延岡中学時代から作歌を始める。早稲田大学英文科卒。早大の同級生に北原白秋、土岐善麿らがいた。1910年刊の『別離』は実質的第一歌集で、その新鮮で浪漫的な作風が評価された。11年、創作社を興し、詩歌雑誌「創作」を主宰する。同年、歌人・太田水穂を頼って塩尻より上京していた太田喜志子と水穂宅にて知り合う。12年、水穂が仲人となり喜志子と結婚。愛唱性に富んだリズミカルな作風に特徴があり、また旅と自然を愛し『みなかみ紀行』などの随筆をのこした。28年死去。享年43歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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