出版社内容情報
ダーウィンの進化論に真っ先に異を唱えたファーブル。進化論の本流とされているネオダーウィニズムは、いまだファーブルの批判を論破できていない。進化論の問題点とゲノム編集など最新研究を解説。
池田 清彦[イケダキヨヒコ]
内容説明
『種の起源』を著し、人類に「進化」という概念を示したチャールズ・ダーウィンと、その進化論に対し真っ先に異を唱えたアンリ・ファーブル。現代進化論の主流派であるネオダーウィニストたちは、一九世紀の人物であるファーブルの批判を、いまだ論破できていない。果たして我々は本当に進化について理解しているのか。進化論と生物学の最先端を解説する。
目次
第1章 ダーウィンとファーブル
第2章 進化論の歴史
第3章 STAP細胞は何が問題だったのか
第4章 ゲノム編集がもたらす未来
第5章 生物のボディプラン
第6章 DNAを失うことでヒトの脳は大きくなった
第7章 人類の進化
著者等紹介
池田清彦[イケダキヨヒコ]
生物学者、評論家。1947年、東京都生まれ。東京教育大学理学部卒業。東京都立大学大学院生物学専攻博士課程修了。山梨大学教育人間科学部教授を経て、早稲田大学国際教養学部教授。構造主義を生物学に当てはめた「構造主義生物学」を提唱。その視点を用いた科学論、社会評論なども行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるわか
27
進化とは生物が世代を超えて変化していくこと。BMI:ブレイン・マシン・インターフェイス。ネオダーウィニズム(ダーウィンの自然選択説とメンデルの遺伝学説)では進化を説明できない。自然選択と突然変異だけでは大きな進化は起こらない。ダーウィンは生物は徐々に進化していくと主張したが、ファーブルは中途半端な段階の生物では絶滅してしまうと進化論を批判。ファーブルとダーウィンの交流。マルサスの人口論:人類の人口は生産される食料によって制限される。進化について検討する際は単細胞生物と多細胞生物を分けて考える必要あり。2017/01/23
テツ
20
進化について。理系学問とか教科書を開いただけで目眩がするほど苦手だったけれどこの手の本は好き。ホモサピエンスの間には過度な欲望は破滅を招くからほどほどにしておけ的な思想があるけれど、生物の進化においてはほどほどの進化などという生温いことをしていたら種が丸ごと滅びてしまう。遺伝子を遥か未来まで受け継がせるために常に最速で最適解を求め続ける。ときには進化の過程に問題があり絶滅することがあってもそうした執念は決して尽きない。個人として何のために存在しているか解らなくても遺伝子は僕らを存在させ続けようとしている。2018/09/20
Tomomi Yazaki
17
池田先生だから分かりやすい内容かなあと思っていたら、なんだか大学の講義のような進み方で汗汗。興味があるから何とかついて行ってる感じでした。しかも読めば読むほど疑問が生じて、同じ個所を何度も読み返すもんだから、完読までにかなりの時間を要しました。あー、薄い本で良かった。あ、ひとつだけ反論がありました。先生は、哺乳類は爬虫類から進化したとしていますが、アンモニアの処理方法が両生類と哺乳類が一緒で爬虫類と鳥類とは異なることから、哺乳類は両生類からダイレクトに進化したと思われます。偉そうに、すいません。2021/11/30
月をみるもの
11
"環境が先か、形態の変化が先か ネオダーウィニストたちは、まず環境が変化し、その後突然変異と自然選択で生物の形態が変わり、新しい環境にうまく適応できたものが現在まで生息しているのだと考えてきました。しかし私は逆に、「生物の形態が先に変化し、その後その形態に適した新たな環境へ移動していった」と考えています。私はこれを能動的適応と呼んでいます"2020/04/26
natzrex
8
帯の通り、何となく知っている気がする進化論をきちんと学んでみようと手に取った。ネオダーウィニズムどころか最新学説を持ってしても、ファーブルが呈した「本能行動」に対するシンプルな疑問に未だ答えられないというのが印象的だった。「遺伝子がどう発現・抑制されるか」で形質は変わるというのも面白い。また、嘗てのSTAP問題についても論文の内容から何が問題だったのかが解説されており、非常に分かりやすい。いつかファーブルの疑問も解明される日が来るのだろうか?疑問が尽きない。2017/09/25