内容説明
身近な自然が急速に失われつつあった一九六〇年代後半、それに危機感を抱いた各地のナチュラリスト・グループや市民団体が期せずしてスタートさせたのが、今日ビオトープづくりの名で一般化した自然復元運動のはじまりである。そのような運動にかかわりをもつ各方面の専門家、市民運動のリーダーなど一一人が集まり、このような運動の理念や理論そして方法を研究する団体「自然環境復元研究会」を組織したのは、時あたかも平成元年(一九八九)のことであった。本書は、自然復元運動の約一五年間の経緯を総括すべく執筆したものである。具体的手法に関する記述はできるだけ省き、自然環境復元運動がそれ以前の公害闘争や自然保護運動の流れを汲んで発生し、いかに様々なバリエーションを生みつつ今日至ったかを簡略かつ読み物風に記述し、最後に将来の展望に関しても記す。
目次
自然復元運動の経緯―序に代えて―公害闘争からビオトープづくりまで
ホタルの里の復元
トンボの池づくり
河川の近自然工法
学校ビオトープ
ビオトープ園・エコアップ装置
農村の自然復元
ドイツ・スイスの自然復元
ビオガーデン・屋上緑化
ミチゲーション・エコロード
将来の展望―まとめに代えて
著者等紹介
杉山恵一[スギヤマケイイチ]
昭和45年3月東京教育大学理学部大学院博士課程修了、理学博士。4月静岡大学教育学部生物学教室助手。57年4月同大学教育学部教授、静岡県自然保護協会々長。平成2年5月「自然環境復元研究会」設立に参画。4年7月静岡県高山植物保護協会々長。6年4月静岡県自然環境保全審議会委員、同公園部会々長。9年3月建設省河川審議会専門委員。12年5月NPO法人自然環境復元協会理事長。13年3月静岡大学名誉教授。13年4月富士常葉大学環境防災学部教授
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