内容説明
他者とのかかわりなしに、人は言葉をもつことができるだろうか。この問いにひとつの答えを与えた少女がいた。１９７０年秋のロサンゼルス。誕生以来１３年間、父親によって小部屋に閉じ込められてきたジーニが発見された。やせ細った少女は、泣くことも叫ぶことも知らなかった。精神科医、心理学者、言語学者、教師らによる研究チームが組まれる。少女は、またとない実験台として迎えられた。やがて少女は笑うことを覚え、他人に愛着を示しはじめる。しかし…。人間らしさをとりもどすため、科学に身を委ねざるをえなかった少女。その足跡を追い、人が人として生きるために必要なものとは何かを深く問う。埋もれた事件の全容を明かす迫真のドキュメント。
目次
第１部 発見
第２部 予感
第３部 進歩
第４部 喪失
第５部 残像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mimm
2
えーと、これは言語学に関する本？閉じ込められて、虐待されて、言葉を持てなかった少女が成長していく記録かと思ったら、隔絶された少女「を観察し、研究する科学者たちの」記録でした。もう利権とかなしに、人道的な観点から少女を助けようとする人はいなかったのかしら。ラストまで読んで、アルジャーノンを思い出しました。2012/01/02
カイザー
1
隔絶された少女の記録ですが、後半にかけては彼女を取り巻く環境の記録という感じでした。2013/05/09
47
1
何も与えられずに育った少女が、科学者達によって搾取の対象となる、悲劇の記録。人を人たらしめるモノは何だ？言葉か？愛か？果たして、本当に、誰も、悪くなかったのか？少なくとも、人は、人と人の間に生きているから人間なのだと、改めて思い知らされる。2011/11/05
つゆり
0
大学での発達心理学・言語心理学・認知心理学を思い出しながら読んだ。 ジー二の描いた絵の説明のところや、大人になったジー二の様子が書かれたところでは思わず涙してしまった。2016/10/24
YM
0
とても興味をひかれました。科学的な調査の記録だと思って読み始めたのですが、そうではなくい、調査した人の人間模様にもひかれてしまいました。もちろん主役は「隔絶された少女」ですが。人間模様は複線言葉が中心ですが、人間の成長を考えるうえで参考になりますた。現在は販売されていないようですが、再び販売してほしい。2012/09/06
