人生、しょせん運不運

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  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794213013
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

独特のユーモアを湛えた戦争小説で知られた著者が両親の死やはかない恋愛の記憶をたどりつつ運命の不可解を思う。戦争体験で培われた、一生は軽いという人生観が胸を打つ。

内容説明

戦記三部作をはじめ多くの名作を残し、平成十四年三月に世を去った著者が、死の直前まで綴りつづけた文章。死別した母と妹の思い出、学生時代の「悪い仲間」たちとの交流、戦場での悲惨な体験など、若年時代に体験したさまざまなできごとの記憶をひとつずつ丁寧に呼び起こしながら、ユーモラスな中に哀感のこもる文章で人生の不条理を思う。

著者等紹介

古山高麗雄[フルヤマコマオ]
1920年、朝鮮新義州生まれ。旧制第三高等学校文科丙類中退。42年召集され、東南アジア各地を転戦。47年復員。河出書房など出版社勤めを経て、雑誌『季刊芸術』の編集に従事。70年『プレオー8の夜明け』で芥川賞、94年『セミの追憶』で川端賞、2000年『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』の三部作で菊池寛賞受賞。2002年3月逝去
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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hitsuji023

7
著者急逝により絶筆となった本書。「人生、しょせん運不運」とは戦争時代を生きた著者らしい。タイトルにもなった言葉が出てくる箇所に、なぜそう思うようになったのか。それは戦争によって無力を思い知らされたからとある。しかし、若い頃は勉強もせず、仕送りを娼妓に使い込むという、だらしのない生活を送っていた人がビルマの奥地へと戦場送りになるというのは予想もつかない人生だったろう。そんな軍隊嫌いだった人が書くから、小説もエッセイも伝わってくるものがあるのかと思う。とにかく、戦争が一人の人生に与える影響は大きいと感じた。2024/01/21

らいしょらいしょ

4
何かで紹介されていたので読んでみた。著者の”途中まで”の回顧録のようなもの。絶筆だという。下っ端にいた頃の、「そんなことしてていいのか」と思うような若い頃の生活は、決してほめられたもんじゃないだろうけど、あの頃口に出したら非国民と言われただろう、本音のところが赤裸々に書かれてある。実際、そんな風に思ってた人が多かったんだろうかね。2019/01/27

やんぬ

2
軽快でユーモラスな文体で、人生を割り切った捉え方をしているものの、やはり全てはかの戦争に行き着く。 自虐的な描写を、自分もそういうとこあるな〜と思いながら読んでいたが、生きてきた時間の重みが違いすぎて失礼か。と思ったり。 しかし、失礼だなんて思わんよ。と許してくれそうな著者の懐の深さも感じられる作品でした。2021/07/06

yukioninaite

2
人生は、自分の力とはなんともしようがないものとつき合っていかなくてはならない、という筆者の諦めとその半生についての絶筆の本。さて、私はそれとどうつき合おうか?2016/11/27

名前を付けて欲しい@残酷な人

2
絶筆というのは切ないな。2011/07/24

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