内容説明
ヒラノ青年に降ってきたのは、新設される「国際A級大学」の計算機科学科の助教授ポストだった。陸の孤島に作られたキャンパスで、お役所からの天下り教授とやりあい、オレがオレが教授たちの抗争に翻弄され、思いもかけぬ領土紛争に巻き込まれていく…。これは工学部ヒラノ助教授がつづる、痛恨の工学部実録秘話である。
目次
ソフトウェア科学の拠点作り
ヘルツ副学長
国際A級大学
新構想大学
天国と地獄
四人目の秘書
悪い種子
荒野の三銃士
三国同盟
非常勤講師の不明
師弟の確執
ティーチング・マシーン
物理帝国の謀略
学生担当教員
カリキュラム差し替え要求
ドーハのH劇
敗因はどこに
残像
ラインの古城
著者等紹介
今野浩[コンノヒロシ]
1940年生まれ。専門はORと金融工学。東京大学工学部応用物理学科卒業、スタンフォード大学大学院オペレーションズ・リサーチ学科修了。Ph.D.工学博士。筑波大学電子・情報工学系助教授、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授、中央大学理工学部経営システム工学科教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くりりんワイン漬け
7
うまく生き残り続ける企業に感じる大きな方向性、ミッション、ゴールが、この本を読んで大学ではそのような目的が表面的なもので、日々実感できる環境ではないのではなかろうかと、悲しい気分になってしまった。 ところでこれは疑問なのだが、この中で西の大学出身の方々があまり出てきていないが、西側はまた違うのだろうか?またノーベル賞をとる方々が西側の方が多く、東側では少ないのは、本書で書かれている環境の問題に起因するのであろうか?2015/12/26
シロクマとーちゃん
4
大学内の、今で言うところのパワハラが描かれており、結構陰鬱な気分になる。2018/03/30
Masakiya
4
この本を手にとったのは、もちろん副題の「日本のソフトウェアはなぜ敗れたのか」に興味があったからだ。 しかしながら、読後感は以下の数行に全て支配されてしまった。 「父と子の争いはどこにでもある。これは仕方がないことである。なぜならそれは、子供が自分のアイデンティティーを確立する上で避けて通れないことだからである。多くの人が男対男の戦いを父と子の対立の中で経験済みである。もし白会教授が、青年時代にこの戦いを体験していれば、森口教授との戦いにのめりこまなかっただろう。(P200)」 作者によればこの、時期を間違2013/08/31
kiho
4
様々な人間関係が描かれて、知らない世界を覗けた感じ…。シリーズなんですね☆なぜかこの本が最初になっちゃいました!2013/07/29
konomichi
4
偉大なる恩師、ポルトスの若かりし頃の闘争物語。こんな偉大な人から直接ソフトウェアを学んでたのか、と改めて気が引き締まるおもいである。断片的に聞いていた思い出話が全て繋がった感じ。これは、次先生にお会いしたら、ポルトスの名前でサインをもらわねば。2013/07/23