内容説明
ポストコロニアリズムとフェミニズムの交差点から、国際社会の文化政治学へ理論的に介入し続けるスピヴァク。母国インドの解放・独立に沸く幼年時の高揚した記憶をもとに、難解とされるサバルタン理論構築の源泉と現場をやさしく語る。最良のサバルタン理論入門。
目次
ナショナリズムと想像力
質疑応答
著者等紹介
スピヴァク,ガヤトリ・C.[スピヴァク,ガヤトリC.][Spivak,Gayatri Chakravorty]
1942年、インド・カルカッタ生まれ。カルカッタ大学卒業。1961年、渡米。現在、コロンビア大学教授
鈴木英明[スズキヒデアキ]
1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。日本女子大学学術研究員および慶應義塾大学ほか非常勤講師。イギリス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
5
15-36 Spivak!レイモンド・ウィリアムズ 「目の前にないものを考える能力」コンパクトなナショナリズム論 ソフィア大講演記録。★欲望の再配置・等価性に基づく比較文学の可能性・抽象的な構造体としての国家の再発明・批判的地域主義。ポストコロニアリズムとフェミニズムの交差点から、国際社会の文化政治学へ理論的に介入し続けるスピヴァク。インドの解放・独立に沸く幼年時の記憶をもとに、難解とされるサバルタン理論構築の源泉と現場を語る。「私は昔の昔風の共産主義者!」インターナショナルな再分配正義のエージェントだ。2011/07/16
左手爆弾
4
「母語を愛することがいかにしてナショナリズムになりうるのか?」翻訳していることを忘れるような、身体の所作と一体化する言語の使用を体得し、そこで母語と入れ替え可能なものであることに気付くことが等価性への途のひとつなのだろうか。もちろん、目指されているのは古い意味での「コスモポリタン」に近いものなのだとは思う。世界中のどこにいても自らの故郷と感じられるような。2015/10/05
白義
4
スピヴァクの本の中でも特に平易な部類に属するが内容は重要、文学部は必読な小著。ナショナリズム、ネーションの誕生を語りながら、それを相対化、脱特権化するための営みとして比較文学がある、という内容。ナショナリズムに付随する異性愛規範、公領域の側から圧倒的に私に訴えかけコード化するその性質を指摘しているのが印象的。サバルタンの理論や文学の想像力など、スピヴァクのいろいろな著書のテーマが散りばめられているので、入門か慣れた頃に読むとすっきりすると思う2012/08/02
ドウ
2
文学に於ける等価性(交換・置換可能性)を見出し、その比較文学者の想像力で、集合的想像力の産物たるナショナリズムを超克する。気晴らしに読める厚さと平易な文体の中に、深く難解な議論が展開される。2016/09/21
無人島
1
あいかわらずフリなのかガチなのか分からない。2012/12/13