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彼女の「正しい」名前とは何か―第三世界フェミニズムの思想

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  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791758418
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C1010

内容説明

西洋フェミニズムの「普遍的正義」の裏に、異なる文化への差別意識がひそんではいないか―。女性であり、かつ植民地主義の加害者の側に位置することを引き受け、「他者」を一方的に語ることの暴力性を凝視しながら、ことばと名前を奪われた人びとに応答する道をさぐる、大胆にして繊細な文化の政治学。

目次

序章 彼女の「正しい」名前とは何か
1 「第三世界フェミニズム」とは何か(「第三世界」と「西洋フェミニズム」;カヴァリング・ウーマン、あるいは女性報道;「女性割礼」という陥穽、あるいはフライデイの口)
2 発話の位置の政治学(「文化」をどこから語るか;「グローバル・フェミニズム」の無知;置き換えられた女たち 第三世界の女のエクリチュール―トリン・T・ミンハを中心に)
3 責任=応答可能性(レスポンシビリティ)(蟹の虚ろなまなざし、あるいはフライデイの旋回;Becoming a Witness―出来事の分有と「共感」のポリティクス;転がるカボチャ、あるいは応答するということ)
終章 「他者」の存在を想い出すこと

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

13
言葉を扱う者の実践として、つねに読み続けていかねばならない書物。2020/02/08

無選別ドーナツ

4
はーーーーしんどかった。結局、他者とは誰か、それに対して私とは誰か、という話につながっていく。それは、私にとっては、「出会い」とは何かという問いだった。あなたの声を聞いていたつもりが実はそうではなかったと初めて気づくとき、あなたと共に生きるとき、私はあなたと出会う……個人の経験を思い出しながら、根気強く向き合ったテクストだった。2016/09/02

Satoshi Kitazawa

3
難しい本でした。 フェミニズムについて、様々な視点からの主張が展開されている。南北問題に根ざした視点からの他者理解は、意識していないだけに危険だ。僕も自らの発言の持つ加害性に、もっと敏感になりたい。2020/11/08

えんさん(연싼)@読書メーター

2
私たちがある事柄を問題だと認識し、それに対して解決しなければならないと言葉にするとき、そこには無意識に先進国╱第三世界、男性╱女性、帝国╱植民地といった関係性を含んでいるかもしれない。本書ではこの関係性について、先進国のフェミニズムから、第三世界へのまなざしを中心に議論をしている。だがこの議論は今も日本国内の「慰安婦」をめぐる議論にもつながるかもしれない。被害者の語りから、「~しなければならない」へと繋がるまでに一体どのような作用が働いているのかを考える必要があるだろうと本書を通じて感じた。2016/11/03

せと

2
言葉遣いには、意図せずともある種の力関係の存在が滲むことがある。「第三世界」で行われている女性割礼は「野蛮」で「後進的」で「西洋人によって正されなくてはならない」"文化"なのだろうか?著者自身は、女性割礼は止められるべきだと考えているが、しかし本作中で一貫して著者が問題にしているのは、この問題に関する各人の「語り方」である。その問題意識は、果たして我々は他人について何かを語ることが可能なのだろうか、他人を語る私とは一体何者なのか、というより深く根源的な問いへと繋がる。語るという行為について考えさせられる。2013/07/06

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