内容説明
『古事記』の緻密な注釈者としての宣長への高い評価。だがその評価者は排外的な皇国主義者としての宣長に当惑し、己れの視野から排除する。小林秀雄『本居宣長』の「内的」な読みと対置される、犀利な「外的」読みによって現代思想の地平を照らし、方法的視点を問い直す。
目次
序 「宣長問題」という視角
「宣長問題」とは何か
宣長・自己のイマーゴ
『古事記伝』・自己同一性の言説
「やまとことば」成立の語り
『古事記伝』と『古史伝』・その連続と差異
神とカミの注釈
平田篤胤国学の神学的再構成
結び 宣長を読むこと
感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
9
昨日の試験には出ては来なかったが、出てもおかしくないと思い借りていた本。『古事記伝』への高い評価の一方で、『馭戎慨言』には辟易、との問題(024頁)。人間の二面性。昨日の英語では宗教の話が読解で出た。日本人の自己認識のあり方(221頁)の問題。今朝の話題は、消費増税への是非。戦争に負けてアメリカの言いなりになっているが、日本人の意思決定の問題はいまだに妥当か、と思えてくる。原発作った時もそれでよかったのか。なし崩し的に既成事実をつくってしまい、憲法条文と実態が合わないので変える、などの事例をどう考えるか。2013/08/26