内容説明
社会とは何か、自己とは何か―カテゴリー化の作用に焦点を当てつつ自己と社会の成り立ちを根本的に問い、社会学理論全体を鍛えなおす野心作。
目次
序章 認知社会学の問い
第1章 自己論―「近代的な自己」をめぐって
第2章 相互行為論―役割カテゴリーから集合体の成員のカテゴリーへ
第3章 相互行為論・その源流―認知社会学から見たミードとシュッツ
第4章 ステレオタイプ論―虚偽のカテゴリーはあるのか
第5章 集合体論―自己カテゴリー化論をめぐって
第6章 自己の同一性論―自己物語とカテゴリー
第7章 集合体の同一性論―集合的過去とカテゴリー
終章 カテゴリー・自己・社会―認知社会学の意義と限界
著者等紹介
片桐雅隆[カタギリマサタカ]
1948年東京生まれ。1978年東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程修了。大阪市立大学、中京大学、静岡大学を経て、千葉大学文学部教授。博士(文学)早稲田大学。専攻、社会学理論、自己論、現代社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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センケイ (線形)
3
集団の記憶や、所属のアイデンティティを考える点で『自己への物語論的接近』とはまた別の面白さ。それゆえに例えば、他者から与えられたステレオタイプであっても自らのアイデンティティとして再活用する、といった現象も取り扱われる。言ってみれば、所属というものが人に動的に付与されることで動く面白さが表れている。また、集合的記憶は個人的に惹かれるテーマで、歴史の事実性がいかでありうるかという話題や、集団にとって「場所」がいかに大事かという話題につながっていくのが面白い。2019/03/28
ゆうき
0
私は他者によってカテゴリー化され自分自身を認知する。カテゴリー化は組織や交友関係によってカテゴリー化されそこにいる成員との関係によってカテゴリー化される。そして私自身の個人誌によっても私をカテゴリー化することができる。過去にあった出来事を現在の自分から観測された過去によって今の自分がカテゴリー化される。社会は時代によって共有されたカテゴリーによって私という自己は社会、時代に沿ったカテゴリーに分けられる。2013/12/12
wakazome
0
内容はおもしろかった。「自己」の存在は決して自明で不変のものではなく、生を通して構築されていくということを再認識できる。しかし、著者は日本語が下手で分かりにくい表現が多すぎる。簡単なことをわざわざややこしく書いている印象を受ける。2010/03/03
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