ヴィレッジブックス
“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期

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  • サイズ 文庫判/ページ数 273p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784789719254
  • NDC分類 936
  • Cコード C0197

内容説明

「なぜ、ぼくだけがこんな目に?」―母親に名前さえ呼んでもらえない。“That Boy(あの子)”から、ついには“It(それ)”と呼ばれるようになる。食べ物も与えられず、奴隷のように働かされる。身の回りの世話はおろか、暴力をふるわれ、命の危険にさらされ、かばってくれた父親も姿を消してしまう―児童虐待の体験者がその記憶をたどることは、きわめて苦痛と困難をともなうものだ。本書は、米国カリフォルニア州史上最悪といわれた虐待を生き抜いた著者が、幼児期のトラウマを乗り越えて自らつづった、貴重な真実の記録である。

目次

プロローグ 救い出された日
第1章 幸せだったころ
第2章 ぼくは悪い子?
第3章 何か食べたい
第4章 ナイフ
第5章 父さんが帰らない
第6章 祈り
エピローグ ロシア川のほとりで

著者等紹介

ペルザー,デイヴ[ペルザー,デイヴ][Pelzer,Dave]
カリフォルニア州デイリーシティに生まれる。州史上最悪といわれた児童虐待を生きのび、その後、米空軍に入隊。一方で、自らの経験を活かして、カリフォルニア州各地の教護院および青年援助プログラムで活動を続ける。児童虐待にたいする一般の認識の向上およびその防止に力を注いだとして、米国内で高い評価を得ている

田栗美奈子[タグリミナコ]
翻訳家・桜美林短期大学講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

110
実母に"It"と呼ばれ虐待された著者の幼年期。食事をろくに与えられず奴隷扱いされ、父は逆らえず兄弟は加担、学校では食糧泥棒の孤独な日常。虐待はナイフ刺傷、絶食10日、有毒ガス室監禁といった致死性のあるもので誇張脚色を想定しないと説明がつかない点も所々。しかし、全体像が掴みづらい主観は虐待・犯罪の連鎖性、相手から自己そして全世界へ向く憎悪の変遷、家族愛を希求することをやめない切実さを平明に説明していて浸透性は高い。被虐者の内面を発信した点に意義はある。加虐に屈しない力強い反骨は本書の存在自体にも流れている。2023/11/14

みゃーこ

80
こんな恐怖と孤独の中でよくサバイブできたな。著者の精神力のたぐいまれさに感服する。2013/08/23

せ~や

76
やっと一巻。読み進める内に頭が痛くて、違う本と並行してしか読めなかったです。ある本に書いていた「子どもは、生活の大部分を親に依存している」という言葉が頭をよぎっては、悔しい気持ちになりました。子どもの生活は、否応なく大部分を親に依存しているんです。その言葉がどれほど重いのか。母親の病状?はある程度、想像出来るし、兄弟の中で著者だけが標的だったのも、投影などでしょう。著者の抱く無気力感がどんな本よりも伝わる。その中で「心までは支配させない」と立ってられた著者の力は一体、何だったんだろうか。☆32020/10/15

青蓮

44
あらすじを読んでどんな内容なのかは判っていたけれど、想像を越えていました。度重なる虐待が酷すぎて読んでいて辛かったです。それでも彼は母に屈しないと懸命に闘った姿は本当に凄い。私もここまで酷い虐待は受けてないけれど、作中の父親の言葉「母さんを怒らせないようにしろ」は私自身も父親から言われてたので母親からされていた嫌な事が思い出され、心が苦しかった。私も父親に助けを求めたけどその場限りで根本的な部分で助けてくれないんだよね…それは虐待してるのと同じ。2013/11/22

マホカンタ

37
余りにも悲惨な筆者の実体験。これが、フィクションの一節であれば、そのヘビィさになかなか読み進められなかったはず。これが、実際に血の繋がった我が子に行われていた。その想像を越える現実を突き付けられると、逆にサラサラ読めてしまうようだ。これは人に備わった一種の自己防衛だろうか…。私の周りにディビットのような子がいた時、私は、ちゃんと彼を救い出す行動を起こすことができるだろうか。2023/09/23

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