消えゆく言語たち―失われることば、失われる世界

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  • サイズ B6判/ページ数 330,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788507630
  • NDC分類 801.03
  • Cコード C1080

出版社内容情報

 世界には六千もの言語がありますが、そのうちの60%は、次の世紀を待たずして消滅すると危惧されています。全地球的な往来と通信が発達した今、英語など世界の共通語がますます普及し、マイナーな言語が消滅していくのは必然ではないか?と考える人も多いでしょう。しかし、言語の多様性が失われていくのは、環境が破壊され、多くの動植物が絶滅の淵に立たされていることと、根を同じくする現象なのです。言語はどのように誕生し死ぬのか、なぜ、英語などの一握りの言語が、かくも圧倒的に他の言語を駆逐するにいたったのかを、言語と生物を取り巻く環境の保全という視点に立ってわかりやすく述べ、多様性のなかにこそ豊かさが宿ることを説得的に示しています。ことばさえもが均一化していく世界を阻止したいという、著者たちからの緊急メッセージです。

 「・・・・・・人々は正当な理由もないのに自分たちの言語を放棄はしないものである。譲歩する以外に現実的な選択肢のない、強要によるストレスがずしりとのしかかる社会状況のもとで生じる言語の変更と死の事例がいかに多いかを、私たちは本書全体にわたって示したいと思う。多くの人々が自分たちの言語を話すのを止めるのは、生き残り戦略としての自己防衛のためなのである。
このことをよく示す事例として、1932年のエル・サルヴァドルの出来事を挙げることができよう。農民暴動が起きてから、服装や身体つきからインディオと見なされた者は軍の兵士によって誰彼かまわず検挙され、そして殺された。その数、約二万五千人におよんだという。三年後になってもラジオ放送や新聞は、二度と暴動が起こらないようエル・サルヴァドルのインディオの根絶を声高に求めていた。(本文「第1章」より)

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 【関連書籍】
 『 文化的営みとしての発達 』 B・ロゴフ著 (定価5985円 2006)
 『 ことば 始まりと進化の謎を解く 』 J・エイチスン著 (定価3990円 1999)
 『 本が死ぬところ暴力が生まれる 』 B・サンダース著 (定価2992円 1998)

内容説明

言語の多様性をどう守るか。世界の大部分の言語が、急速に消滅している。生物種の絶滅と軌を一にして。言語はどのようにして死んでゆくのか?われわれに、何ができるのか?均一化するグローバリズムへの警鐘。

目次

第1章 消えた言語はいまどこに?
第2章 多様性の世界
第3章 失われることば/失われる世界
第4章 言語の生態学
第5章 動植物相の波動
第6章 経済の波動
第7章 なぜ、何かをなすべきなのか?
第8章 持続可能な未来

著者等紹介

ネトル,ダニエル[ネトル,ダニエル][Nettle,Daniel]
文化人類学を専攻、アフリカにおける現地調査を経験している

ロメイン,スザンヌ[ロメイン,スザンヌ][Romaine,Suzanne]
専門は言語学、イギリス国内と太平洋諸島における現地調査の経験あり

島村宣男[シマムラノブオ]
1944年埼玉県生まれ。1969年東京外国語大学大学院外国語学研究科ゲルマン系言語(英語学)専攻修了。専攻は英語学(英語史・文体論)。現職、関東学院大学大学院文学研究科・文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

15
進化生物学比較生物学の学者と社会言語学者の共著。近代に至り急激に話者が減少乃至消失している言語についてその危機を伝える。この劃期を古くは人類が狩猟採集を脱して農業生産を始めた数千年前、産業革命と植民地の拡大とし、少数言語の保護が生物多様性や環境保護の間に、因果性は証明し得ないが強い相関のある事を主張しつつ、僅かな明るい事例にふれる。Jダイアモンドのような文明論に踏込むが、事例を多く紹介し問題意識を喚起するものの、主張が強く格調に乏しい。環境と言語問題を論ずるなら領域国民国家解体に踏込まないと無理な気がする2023/02/22

ののまる

12
言語は、天然資源であり、各集団の正当な財産の一部であり、人間の集合的文化遺産である。現在5000〜6700言語といわれている言語は、今世紀末で半分は消えると言われている。2019/01/04

tenorsox

3
大量の言語(所謂○○語)が消滅の危機に瀕しているという事実と、それが人類全般にとって大きな損失である事を強く訴えている。 前者については、その原因分析、動植物の種の絶滅との比較、地域別の傾向が中心で、特に原因分析の所では言語自体の優劣は無関係とか、そもそも白人が世界を制することができた要因(「銃・病原菌・鉄」に近い)にまで話が広がっていく。 後者については、言語そのものの文化的価値以上にその言語(及びその話者たち)に蓄積されている大量の知見(自然界に関わる話が多い)に焦点が当たっている。 良書です。2020/05/03

takao

3
言語が消えるということは、その言語が持っている世界観も消えるということ2017/01/05

ぷるぷる

3
人類学者と社会言語学者による警鐘。世界には6000の言語(しかしこの数は500年前の半分にすぎない)があり、そのうち60%が消滅の危機というのにまず驚く。その一方で話者数上位10言語が世界人口の90%を占めるという状態にも驚いた。本書で書かれている言語消失の実例とその原因の解析にもショック。環境を守る為の議論において「生物多様性」の重要性が指摘されるなら同様に「言語多様性」が重要であることも明らかだ。言語=人類の知恵であり消失は人類にとっての損失であるということが実例と繰り返される主張を通じてよく分かる。2007/02/14

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