出版社内容情報
諸科学による人間認識の断片化を超えるために,ルソー,カントから現代にいたる思想家68人の重要な人間的命題を体系的に集成し,人間そのものに関する総合的な知を一望させる。望みうる最高の執筆陣によって思想史の深みから書かれた人間学への招待。
ジョシュア・メロウィッツはこのマクルーハンの論点を発展させ、現代の電子メディアが社会的状況に対する場所の拘束力を低下させることで、社会秩序を構造的に変容させていくと主張した。メロウィッツによれば、新しいメディアの登場は、壁や門の建設や破壊と同様、社会的状況を分割したり、統合したりする効果をもつ。伝統的には、社会は、表局域と裏局域の区分を常態化し、公的な場面と私的な場面、男の領域と女の領域、大人の世界と子供の世界を分離することによって秩序づけられてきた。ところが電子メディアは、これまで物理的に隔てられてきた場面を直結させ、表局面と裏局面の固定的な分離を不可能にしてしまう。電子メディアは、それまで明確に分離されてきた場面の境界線を取り払い、物理的な場所と社会状況の対応関係を流動化させる。その結果、電子的なテクノロジーが広範に浸透した社会では、「場所の意識の喪失」が至るところで起こっていく。人びとは「身のおき場」を失い、社会が電子的に混ぜ合わされていくのである。(「61メディアと身体技術の変容」より)
書 評
京都新聞98.5.24
「出版ニュース」98.5中下
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【関連書籍】
『 思考のトポス 』 中山元著 (定価2520円 2006)
『 入門 マインドサイエンスの思想 』 石川幹人・渡辺恒夫編著 (定価2940円 2004)
『 私の身体は頭がいい 』 内田 樹著 (定価1890円 2003)
内容説明
総合的な人間理解へ。知識の専門閉塞性を越えた総合的な人間学。19世紀以降、人間にかかわる学問はいちじるしく専門化、分化し、今日では専門的閉塞を来している。他方、ニーチェに始まる脱人間中心主義的な現代思想は、「人間解体の人間学」という新しい課題を提示している。この困難な状況を打開する新しい人間学の布置の試み。
目次
1 生成の人間学
2 自己組織性の人間学
3 超越の人間学(聖の人間学)
4 表現の人間学(身体と性の人間学)(芸術・スポーツの人間学)
5 人間形成の人間学・病の人間学
6 記号・記載の人間学
7 風土の人間学・空間の人間学
8 社会と文化の人間学:9 歴史の人間学