内容説明
長年の論争に決着をつけるキャパの真実!スペイン内戦やノルマンディー上陸作戦に従軍して「戦争と人間」をえぐる写真で世界に衝撃を与えたキャパ。その記念碑的作品『崩れ落ちる兵士』に対する「演出」「ほかの写真家の作」などの通説を、スペインの研究者との共同調査もふまえて根底からくつがえし、撮影場所と撃たれた兵士を特定することで真相を明らかにする。
目次
第1章 パリを発つ
第2章 セロ・ムリアーノ―九月五日
第3章 フェデリコ・ボレル・ガルシアのこと
第4章 新たな二人の発見者
第5章 エスペホの村
第6章 『キャパの十字架』への疑問
第7章 『崩れ落ちる兵士』のプリント
第8章 ライカとローライ・フレックス
第9章 『崩れ落ちる兵士』の真実
第10章 運命の日
著者等紹介
吉岡栄二郎[ヨシオカエイジロウ]
1943年、東京都生まれ。多摩美術大学で写真美術史を学ぶ。1984年から4年間にわたってシルクロードの各国を取材、中国解放後に世界で初めてイスタンブールからカラコルム山脈を越えて中国の西安へ向かう古代シルクロードの道の踏破に成功する。91年から東京富士美術館で写真部門の創設に参加、ニューヨーク近代美術館から世界屈指のコレクションという評価を得る。同館の研究部長として20あまりの展覧会を企画する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トッシー7
1
崩れ落ちる兵士をみたことはあったが謎があることはしらなかった。沢木耕太郎の本も読んでみようと思う。2014/10/19
こい
0
沢木耕太郎の「キャパの十字架」、崩れ落ちる兵士の説に違和感を感じた著者が新しい説を展開。なるほど、確かに沢木説には不確かなとこもある。ただ、それぞれの説を検証しつつ真実に近づいたとて、その真偽はキャパとゲルダしかわからない。わかったとしてもこの写真、キャパの偉大さがかわることはないように思うので、様々な説が展開されることに面白く思う。2015/12/31
田中峰和
0
昨年2月、ロバート・キャパの名声はNHKと沢木耕太郎によって貶められた。「崩れ落ちる兵士」を恋人ゲルダ・タローの写真と結論付け視聴率を稼ぎ、沢木の本も売れた。著者は一方的にこじつけられた沢木の説に疑問を呈し、キャパの名誉回復のためにこの本を書いた。ゲルダはキャパを世に出すため、二人三脚でマスコミから戦場まで行動を共にする。ファシズムに抵抗する民間兵の活躍を世界に発信するため演出過程で起こった事故。味方の誤射に倒れたのが写真の真実。味方の銃弾に倒れた戦士の無念。キャパが語れなかった真実が見えてくる。2014/11/05