オウバアキル

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  • サイズ B6判/ページ数 96p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784783719571
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0092

内容説明

現実はこんなに過酷で残酷なのに、ぼくたちはなんでこんなに幸福なのだろう―。心の傷口から零れ落ちる痛みが、コトバの最涯で結晶化する。現代詩手帖賞詩人、鮮烈なる処女詩集。第42回現代詩手帖賞受賞。

目次

私を底辺として。
快晴の過程で
低空
新世界
ソナタ
冬のすみか
ケモノ道
八月十五日
パレードのあと
イマワノキワ〔ほか〕

著者等紹介

三角みづ紀[ミスミミズキ]
1981年、鹿児島県生まれ。現在、東京造形大学デザイン学科在学中。『オウバアキル』で、2004年、第42回現代詩手帖賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Roy

35
★★★★★ 何故線を引くのか。何故壁をつくるのか。この詩人が対峙する関係にはいつも区切りが入る。大きな壁を隔てた私とあなた。「にんげんがすきなのだよ」と詩人は言う。「にんげんがすきだから」とも詩人は言う。「失望したくないし音をたててドアを閉める」と語られた「にんげん」への線引き。失望が続けば絶望になる。絶望が続けば何もかもがどうでもよくなる。壁なんか壊せばいいと思っていたけど、なんか分かる気がする。僕もまだ当分、人間のこと好きでいたい。2009/09/17

fishdeleuze

22
あとがきに「私にとって、詩は書いた(或いは詩に書かされた)時点で全てノンフィクションになります。痛くて泣いて仕舞うこともあります。それでも私は書き続けなければなりません。酸素を吸いこんだら二酸化炭素を吐き出すように」とある。彼女の第一詩集は、このあとがきのとおり、とてもパーソナルで病的と言ってもいい痛みが言葉を通して読むものの身体をえぐる。読んでいるうちに呼吸が同調するような。2015/07/12

ふじみどり

18
気付いたら景色に溶け込んで失われてしまうような少女性というもの。その痕跡が愛しくて名残惜しくて若い女性の詩を読む。世界が新しく見られるように少しだけ手助けしてもらう。2012/10/05

mm

13
再読。心療内科の花形?って、時代とともにかわるよね。心の病は時代の闇を写すから。たった12年前なのに、ビョーキの主流は変わったと思う。精神科業界の人間ではないから、間違ってる可能性大だけど…しっかし!とにかくストレートに痛くて痛くて、絆創膏無しに読めない詩だわ。2016/10/30

tomo*tin

11
普通、というのがいったい何を指すのかときどきわからなくなる。一般的であること、多数決でいつも多数に紛れ込むこと、清潔で健康であること、それらを遂行することで人間は他人という得体の知れない何かに愛されようとする。愛されなければ一人であることを、そして、愛されてもおそらくは一人であることを知っているから。けれど知識と理解は別物なので、詩人は詩を書かずにはいられないのだろう。心の核に隠し持った孤独が殻を破って顔を出し、柔らかい部分に傷をつける。生乾きの傷跡のような言葉はさみしさの懺悔にひどく近いと思った。2011/04/05

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