内容説明
「ワルシャワの記憶」をたどってきた。それは同時にワルシャワの街の「歴史歩き」でもあった。人間の一生より長くかかって生まれてきた建造物はさらに破壊、修復、改築を重ね、世紀をまたいで長く生き続けてきた。それに比し、人間一人ひとりの生命はあまりにも短く、歴史的建造物や記念碑を目の前にすると、奥深い過去と現実のあいだの大きな隔絶を知るばかりである。それでも、そうした場に身をおくと、長い歴史の深みのなか、広大な空間と時間の懐の中にある人間ひとりの存在に孤独を感じながらも、同時に安堵を覚えるふしぎがある。(本書「はじめに」から)
目次
プロローグ 歴史の歩き始め―ヴィスワ川のほとりにワルシャワの起り、マゾフシェ公国のポーランド王国への統合(一五二六年)へ
第1章 選挙王制の共和国“ポーランド・リトアニア共和国”(その一)―ヤン三世ソビェスキ国王まで(一六世紀後半~一七世紀)
第2章 選挙王制の共和国“ポーランド・リトアニア共和国”(その二)―スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキ国王まで(一八世紀)
第3章 ワルシャワ公国とユゼフ・ポニャトフスキ侯、一八一二年ロシア遠征戦争―コシチュシュコの反乱(一七九四年)、第三次分割(一七九五年)~ワルシャワ公国(一八〇七~一八一五年)まで
第4章 ウィーン会議、会議王国と一八三〇年一一月蜂起まで―ウィーン会議(一八一四~一八一五年)~一八三〇年「一一月蜂起」(一八三〇~一八三一年)
第5章 「両蜂起間期」(一八三一年~一八六二年)、大亡命から一八六三年一月蜂起へ
第6章 鉄道とヴィスワ川に架る橋
第7章 一八六三年「一月蜂起」後から一九世紀末、第一次大戦前夜まで―一八六四年~一九一四年
第8章 第一次大戦と独立回復、対ソ連戦争からピウスツキの死まで―第一次大戦勃発(一九一四年)、対ソ連戦争(一九一九年~一九二一年)、デーブリーンが歩いた一九二四年秋、ピウスツキの死(一九三五年)
第9章 第二次大戦勃発、ワルシャワ防衛戦とスタジィンスキ市長―一九三六年~第二次大戦勃発(一九三九年)、ナチス・ドイツの侵攻とワルシャワ防衛戦(一九三九年九月)
第10章 ナチス・ドイツ占領下のワルシャワ、連合軍でのポーランド軍の戦い
エピローグ ドイツ軍空撮写真を見てたどる一九四四年八月蜂起直前のワルシャワ
著者等紹介
尾崎俊二[オザキシュンジ]
1946年兵庫県生まれ。東京外国語大学卒業。2004年まで高校教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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