出版社内容情報
1930年代のカメルーンを舞台に、植民地支配を補完し、そこから利益を得るキリスト教宣教師の姿を抉り 出しつつ、同時に「アフリカの古き良き伝統」を美化する立場にも批判をくわえて、日々変容を遂げる現代を生きるアフリカの人びとの希望と欲望を描く。
内容説明
1930年代のカメルーンを舞台に、植民地支配を補完し、そこから利益を得るキリスト教宣教師の姿を抉り出しつつ、同時に「アフリカの古き良き伝統」を美化する立場にも批判をくわえて、日々変容を遂げる現代を生きるアフリカの人びとの希望と欲望を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Risa Shimowada
3
非常に面白かった。今まで読んできたアフリカ系物語とは良い意味でレベルが違い、面白くて特に中盤の少年がキリスト教的な意味で堕落して罪を抱え、見て見ぬふりをされてきた裏の問題が明かされて最後は司教館が放棄されるという流れは非常に面白かった。物語がキリスト教に心酔する子供によって語られ、その反転がフランス文学的な風刺なのか面白かった/冒頭暫くはキリスト教を批判したいだけの話が続いて脱落しそうになったのでもう少しコンパクトにしたらいいのに。2022/03/27
MIRACLE
1
キリスト教の西アフリカでの伝道活動の罪と過ちを、黒人少年の視点で描いた本。1930年代のカメルーン南部が舞台だ。主人公ドニはボンバ・カトリック布教館のボーイだ。彼はタラ地方への館長の巡回に同行する。その見聞を日記に記すという体裁だ。主人公が子どもであるため、おぼろげな描写からしだいに恐るべき真相が明らかになっていく。それに対し本書の主題はフランス人のドリュモン神父(館長)の心境の変化に現れる。少年の日記という形式では主題の開示が効果的でない。単調さ回避のためにも、神父の日記との二本立ての構成が必要だった。2012/08/10