内容説明
本書はの書名は、無意識を通じて精神病理現象を見るという、基本的な立場を示している。メラニー・クラインにとっても、ジャック・ラカンにとっても、無意識はパラドキシカルな構造を持っていた。クラインの精神内界論における生と死の欲動の循環、そしてラカンにおける「シニフィアンと主体の関係」、これらはともに、パラドックスの問題に触れている。考える主体のパラドックスが、無意識の発生に当たって中心的な役割を演ずることを、2人の精神分析家は見逃さなかったのである。
目次
ダブル・バインドとパラドックス―精神分裂病の家族研究に関する方法論的展望
分裂病者の「虚像転移」―ヒステリー性精神病者との対比において
メランコリーと故郷喪失の幻想―「浄土幻想」から「日常」まで
「寸断された身体」の体験について
精神分裂病者の死生観
ラカンの基本理念をめぐる省察
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