東欧の文学<br> コスモス - 他 (第5版)

東欧の文学
コスモス - 他 (第5版)

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  • サイズ B6判/ページ数 351p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784770402141
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C1397

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

27
私たちは目に入ってくる情報をどうやって取捨選択して「現実」を構築しているのでしょう? 部屋に入る。たくさんの物がある。そのなかから何を重要だと思って認識し、何を切り捨てているのか。この物語の主人公はどうして宙ずりのスズメや間借りしている部屋の天井の矢印をことさら強調し意味を見出そうとするのか。矢印の示すスズメの宙ずり、唇、木切れの宙ずり、湯わかし、猫の宙ずり…。じわじわと浸透してくる彼の「現実」。カオス。そしてカオスは関連付けられ秩序(コスモス)のなかへ。くらくらしながらそれを見つめる混乱した楽しさよ…。2016/10/14

三柴ゆよし

12
ブルーノ・シュルツ「肉桂色の店」&「クレプシドラ・サナトリウム」読了。父親の狂気と変身という歪んだオブセッションが頻出する短篇群。なに食ったらこんな色彩感覚が身につくんだってくらい強烈な映像がばんばん飛び交うのには、めまいをおぼえた。そしてもちろん疲れた。わたしの頭がわるいのか、そもそもシュルツがわかるように書いてないのか、印刷された内容がなにひとつわからないという事態も間々発生したが、「父の最後の逃亡」に終わる一連の父親シリーズなどは楽しく読んだし、ある種の妖気を孕んだ文章の洪水にはやはり圧倒される。2012/05/14

きゅー

8
『コスモス』を味読。しかし内容はいかにもカオス。妄念が妄念を呼び込み、ささいな出来事が重大な意味を持つとみなす僕らの行く手にあっては、すべての物事が何らかの連関によって繋がっている。唇と唇、雀と唇、木切れと雀……すべては繋がってる。しかし、その繋がりの法則が分からないのだ……なかなか物語は進展しないけれど、そもそもストーリーを楽しむ物語ではなく、登場人物の半ば狂っているようなおかしな言動をねっとりと楽しむものだからこれでいいのかも。粘性の高い文章に、じわじわとのめり込んで行くような感覚だった。2013/04/10

ふくろう

8
全然コスモス=秩序じゃないよ! というのが、読み終わった第一声。カオス、とにかくカオス。首をくくられたスズメの死体から始まる事件のにおい。だが、探偵であるところの「わたし」は、手掛かりは醜い女中の唇であるという妄執に取りつかれて、性欲がヤカンによってねじ曲がったためにネコを縊り殺す。さらに、銀行マンの紳士がベルグでありベンベルグであり、ベルベルグっているから心底わけが分からない。言っとくけどこれ、全部本文に書いてあることだからね。ゴンブロさんは本当にいい感じにお狂いで。2010/09/12

roughfractus02

5
言葉と物の対応で世界ができるなら、顔の下にある穴を唇と呼ぶことは口腔から繋がる食道や気管や内臓、顔から連続する皮膚や体毛等を捨象している。そこで作者は、そんな知識世界に対し、唇を木切れやスズメに繋げてトポロジカルな連続体を作り、「コスモス」と呼ぶ。一方、このトポスで首がくくられたスズメを見、自ら猫の首をくくり、首くくりの男を主人公が目撃する時、世界の連続性は途切れ、滑走する言葉も吃音化する。この切断がコスモスに起きるのなら、出来事が世界をまずカオスモスとして作ったからだろう、と作者は主人公と共に直感する。2020/03/24

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