出版社内容情報
三度の飯より「書くこと」が好きなハルキ。国語以外の成績はふるわないものの、文芸部の部長として周囲の信頼も厚く、中学最後の年を楽しく過ごしていた。ところが、SNSの誹謗中傷から歯車が狂いはじめ、運命は思いもかけない方向へ・・・。
内容説明
言葉にのってどこまでも。「文学のチカラ」を再認識!さわやかな青春小説。あるときは、フツーの中学生。あるときは、詩人「かすみ草」。そしてまた、あるときは…?
著者等紹介
小手鞠るい[コデマリルイ]
1956年、岡山県備前市生まれ。同志社大学法学部卒業。さまざまな職業を経験したのち、1992年からアメリカ在住。現在、ニューヨーク州ウッドストックの森の中で暮らしながら、童話や小説を書いている。一般文芸、児童文学ともに著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
90
YA。紀貫之「土佐日記」のまねをして「男のすなる日記というものを、女もしてみむとてするなり」の逆に、女子中学生が「ボク」として日記を書くことにした。前半は中学2年3学期(1月)~文芸部元部長としてそれなりに楽しく中学生生活を送る主人公。しかし、ネットの詩投稿サイトで炎上し攻撃され、不登校に陥る。後半は8月~、チチの知人の作家の手伝いで単身ギリシャへ行き復活。悩みつつも真摯に「言葉」と向き合い、作家という仕事について、夢から現実へ歩みだす。作中の詩がとてもいい▽著者の自伝的物語なのかな?良本2022/01/12
ゆのん
75
小説家を夢見る中学生の春希は新しい事をしようと日記をつけ始める。中学生でありながら彼女の書く詩が素晴らしい。良くも悪くも言葉の持つ力は凄いと改めて思いしらされた。様々な試練に挫けそうになりながらも自分の中から溢れ出る沢山の言葉を紡ぐ事に真っ直ぐな心で突き進んでゆく姿は驚く程純粋で、力強い。大きな夢でも小さな夢でも夢を見ること、叶える事を恐れてはいけない、何もせずに諦めてはいけないと勇気をくれる。2022/01/08
けんとまん1007
65
中学生の頃。おとなへの入口。詩の持つ力。言葉の持つ力をずっと考えるようになった。一つの言葉の意味を考える。少しの違いが、大きな違いになりうる。いい意味でこだわりを持ちたいと思うし、こだわりが出てきたように思う。そんなことを、ふと、考えさせられる物語。2022/09/20
へくとぱすかる
43
1年間の心の旅とでも言うべきか、紀貫之の逆パターンと称して、女子中学生が男子になったつもりで日記を書き始める。「ボク」につられて、つい男子が視点人物のように読み進めている自分に気がついて、自分の固定観念と日本語の一人称の強さに唸ってしまう。ここは反省。登場人物の作品として挿入される詩は、絶妙さが必要なだけに、作者の力量がすごいと感じた。中学生らしく、しかも入選するほどの高レベルで、(架空の)SNSのコメントに対応した作品であることが要求されるのだから。ライトさを感じる小説で、読み終わっての感触は良かった。2024/03/04
ムーミン
34
詩がすてきでした。2024/02/16